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JAL、空飛ぶクルマ・ドローン事業で不正受給 管理職指示で実態異なる日誌、NEDOに2.8億円返還へ

 日本航空(JAL/JL、9201)は6月30日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業の不適切な労務費申請について、調査結果をNEDOへ報告した。研究員から2025年9月に疑問の声が上がったものの、管理職層が上層部へ報告せず、実態と異なる従事日誌の作成が続いていた。JALが組織として問題を認識したのは今年1月で、2月にNEDOへ報告し、社外弁護士による調査を進めた。

NEDOへの過大請求を陳謝するJALイノベーション本部長の飯山執行役員(左)=26年6月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 問題が起きたエアモビリティ創造部は約20人の組織で、複数の管理職が研究員に予定従事時間を割り振っていた。JALは管理職層への人事措置と組織改正を実施済みだが、懲戒などの正式な処分は、NEDOの判断を踏まえて就業規則に基づき決めるとしている。また、JALはNEDOから補助・委託された5事業のうち進行中の3事業を辞退。一方でJALは空飛ぶクルマとドローンの2事業を継続する。

—記事の概要—
疑問提起も上層部へ報告せず
返還額すべて「未従事」ではない

疑問提起も上層部へ報告せず

 2025年度に始まったドローン関連事業の従事日誌について、同年9月に管理職が研究員を集めて記載方法を説明した。研究員ごとに割り振った予定時間に合わせ、用意した従事内容の記載例を日誌へ転記する運用に対し、自身の業務がNEDO事業に当たるのか疑問を示す声が複数の研究員から出たという。

 管理職は、従来の運用を続ける姿勢を示すなど曖昧に対応し、問題を上層部へ報告しなかった。JALイノベーション本部長の飯山高広執行役員は、上層部への適切な指示を仰ぐ「エスカレーション」が行われず、研究員が管理職の言動を忖度する状況だったと説明した。

 その後、全社的に公的助成金や委託費の管理状況を確認する過程で、過去に研究員から異論が出ていたことを部内で確認。2025年度の従事日誌を調べた結果、実態と異なる記載を発見し、今年1月に会社として問題を認識した。

 JALは2月、不適切な申請の疑いがあるとしてNEDOへ報告し、社外弁護士による調査を開始。対象を過年度の事業へ広げ、6月30日に調査結果を報告した。JALは公表まで時間を要した理由について、NEDOへの調査結果の報告期限が6月30日だったと説明。23日に開催した株主総会の時期とは別に進めたという。

 予定時間を研究員に割り振る運用は、2021年度以降の従来の3事業でも行われていた。JALは、これらの事業では開始当初から補助金や委託費を不正に受給する計画や共謀は認められなかったものの、計画に合わせて日誌を記載する不適切な運用が慣行化していたと説明した。

 一方、2025年度に始まった2事業は、管理職が記載方法を改めて説明し、予定時間に合わせるよう指示していた。JALは、この2事業については、不必要な労務費を積み上げ、NEDOの予算を満額得ようとする意図があったと判断している。2事業の労務費は未受領だった。

 辞退するのは、ドローンの1対多運航を実現する「適合性証明手法の開発」と「機体・システムの要素技術開発」、空飛ぶクルマの「低高度空域共有に向けた運航管理技術の研究開発」の3事業。いずれも2026年度末までを事業・履行期間としていた。

NEDO事業として展開するJALのドローン「1対多運航」実証(JALのYouTubeから)

返還額すべて「未従事」ではない

NEDOへの過大請求を説明するJALイノベーション本部長の飯山執行役員=26年6月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 JALは、国からの補助金として受給済みの労務費3億2123万円のうち、客観的な証拠で従事を確認できる3602万円を再申請し、差額の2億8521万円を返還する。一方、返還分のすべてについて、実際に業務をしていなかったと認定したわけではないとしている。

 今回の調査は、サーバー上に残されたデータを詳細に調べる「フォレンジック調査」で、返還対象には、社内サーバーの更新で過去のスケジュールやメールが残っていないものや、退職者や他社への出向者で十分な調査ができなかったもの、記憶だけで客観的な裏付けが得られなかった時間も含まれるという。2021年度の空飛ぶクルマ調査事業は、受給した2422万円の全額を返還するが、業務をしていなかったためではなく、デジタルデータが残っておらず確実な証拠を示せないためだと説明した。

 成果物や研究報告書はNEDOへ提出し、確認を受けていたという。今回の問題は成果物がなかったことではなく、労務費算定の基礎となる従事時間と作業内容を、実態ではなく事前の計画に合わせて記録していたことにある。

 JALは6月30日午前にNEDOへ調査結果を報告したが、同日時点で新たな命令や処分は受けていない。今後、NEDOが修正した従事日誌と証拠を再検査し、返還額や加算金、遅延損害金、処分の要否を判断する。飯山氏は、再検査には2カ月程度かかるのではないかとの見方を示した。

 JALは継続中の3事業の辞退を申し出た一方、空飛ぶクルマやドローンの事業自体は継続する。航空安全や空域・運航管理の知見を生かし、自社での事業開発や他社との連携を進めるとしている。また、NEDO以外の公的な補助・委託事業も社内で確認したが、現時点で同様の不適切な労務費計上は見つかっていないという。

関連リンク
日本航空 [1]

第1報
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