日本航空(JAL/JL、9201)が4月30日に発表した2026年3月期通期連結決算(IFRS)は、純利益が前期(2025年3月期)比28.6%増の1376億400万円だった。売上収益は9.1%増の2兆125億1500万円で、再上場後最高となった。事業活動による利益を示すEBIT(財務・法人所得税前利益)は26.4%増の2180億400万円で、過去最高益となった。
同時に発表した2027年3月期通期業績予想のうち、純利益は2026年3月期比20.1%減の1100億円を見込む。
—記事の概要—
・FSC
・LCC・非航空
・財務・為替・配当
・27年3月期予想
・社債型種類株式・ライフネット生命
FSC

26年3月期通期決算を発表するJALの斎藤祐二副社長=26年4月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2026年3月期通期の営業費用は8.3%増の1兆8340億円で、EBITマージンは1.5ポイント上昇し10.8%となった。費用のうち燃油費は4.1%増の3954億円、整備費は16.7%増の1717億円、人件費は9.6%増の3984億円だった。ROIC(投資利益率)は9.5%、EPS(1株当たり純利益)は306.96円で、EBITマージンとともに2021-25年度中期経営計画の最終年度の財務目標をすべて達成した。
売上収益のうち、JALを中核とするFSC(フルサービス航空会社)事業が9.3%増の1兆5874億円。EBITは30.5%増の1450億円だった。国際旅客収入は9.1%増の7600億円、国内旅客収入は6.6%増の6090億円、貨物郵便収入は16.3%増の1897億円だった。
国際旅客は、旺盛なインバウンド(訪日)需要と回復基調の日本発ビジネス需要を取り込んだ。ロードファクター(座席利用率)は1.9ポイント上昇の85.8%で過去最高。単価は3.4%増の9万4900円、イールドは1.0%増の16.8円、ユニットレベニューは3.3%増の14.4円だった。
国内旅客は、需要喚起策による旅客の取り込みとレベニューマネジメントが寄与した。搭乗率は5.0ポイント上昇の83.9%で過去最高。単価は0.7%増の1万5929円、イールドは0.7%増の20.8円、ユニットレベニューは7.2%増の17.5円だった。
貨物事業は、貨物郵便収入が16.3%増の1897億円だった。郵便を除く貨物収入は、国際貨物が21.3%増の1496億円、国内貨物が7.3%増の299億円。国際貨物は自社貨物機に加え、カリッタ航空(CKS/K4)の大型貨物機を活用した米国線の定期貨物便で、アジア-北米間の需要や医薬品、AI・EV関連部品などの高単価貨物を取り込んだ。
LCC・非航空
ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)を中核とするLCC(低コスト航空会社)事業は、売上収益が10.4%増の1149億円だった。EBITは17.1%減の96億円で、増収減益となった。
中長距離LCCのZIPAIRは、旅客収入が8.4%増の742億円。2月から3月には、成田-オーランド間の直行チャーター便を計4往復運航した。アジアのエアラインとして初めて米スペースXの衛星通信「Starlink(スターリンク)」を導入し、5月中に全機搭載を予定している。
中国路線を運航するスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)は、旅客収入が19.2%増の242億円だった。北京、上海(浦東)線など大都市を中心とした需要を取り込んだ。
ZIPAIRの単価は6.4%増の5万3797円、イールドは2.1%増の9.1円、ユニットレベニューは6.3%減の7.1円だった。スプリング・ジャパンの単価は12.9%増の2万2643円、イールドは1.2%増の13.7円、ユニットレベニューは12.1%増の12.0円だった。
非航空系事業のうち、マイル/金融・コマース事業の売上収益は10.9%増の2222億円、EBITは19.5%増の455億円だった。JALカード決済額の増加に加え、事業投資や海外提携を通じてマイル発行機会が広がった。グランドハンドリング受託などの「その他事業」は、売上収益が2.7%増の2590億円、EBITは54.7%増の191億円だった。
財務・為替・配当
有利子負債は8759億円で、2025年3月末比201億円減少した。自己資本比率は40.3%で、同5.4ポイント上昇。現金及び現金同等物は1兆101億円で、同2611億円増加した。
営業活動によるキャッシュフローは3948億円のインフロー、投資活動によるキャッシュフローは1831億円のアウトフローだった。営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合算したフリーキャッシュフローは2117億円の黒字となった。
為替の実績は1米ドル150.0円で、燃油はシンガポールケロシンが1バレル85.4米ドル、ドバイ原油が67.1米ドルとなった。
年間配当案は1株あたり96円とし、期末配当案は50円とした。2026年3月2日に公表した業績予想を上回ったものの、足元の中東情勢の影響を考慮し、配当予想は据え置いた。2027年3月期も年間96円を予想している。
27年3月期予想
2027年3月期の通期予想は、売上収益が2兆950億円(26年3月期比4.1%増)、EBITが1800億円(17.4%減)、純利益が1100億円(20.1%減)を見込む。中東情勢の緊迫による原油価格高騰など、世界情勢の不確実性を織り込んだ。
2026年4-6月期(第1四半期)は、国際線、国内線とも旅客数が計画を上回る見通し。国際線は3月以降の中東情勢による需給ひっ迫を取り込み、国内線は4月の運賃値上げ後も需要が底堅く推移しているという。
グループCFO(最高財務責任者)を務める斎藤祐二副社長は30日に開いた会見で、燃油価格高騰による第1四半期の影響について、月110億円程度のEBIT押し下げ要因になるとの見方を示した。一方で、燃油サーチャージや政府支援で「一定程度打ち返していく」と説明。さらに、国際線、国内線、貨物、LCCのトップラインがいずれも好調だとして、「この110億のマイナスは期ずれも含めてしっかり取り返しができる」と述べた。
社債型種類株式・ライフネット生命
JALは4月30日、2000億円の社債型種類株式の発行を決めた。既存の普通株主の持株比率を希薄化させずに、成長資金の調達と自己資本の拡充を進める。調達資金は、エアバスA350型機やボーイング737-8型機など、最新鋭機材の購入に係る設備投資の一部に充てる。
また、ライフネット生命保険(7157)との資本業務提携を進める。auフィナンシャルホールディングスから同社株式1472万6100株を取得する予定で、持株比率は18.32%となる見通し。保険主要株主に係る認可取得などを前提に、6月下旬をめどに取得する。JALのマイルや顧客基盤、ブランド力と、ライフネット生命の保険商品開発やオンラインマーケティングのノウハウを組み合わせ、保険商品・サービスの開発に向けて検討・協議する。
関連リンク
日本航空 [1]
経営ビジョン
・JAL鳥取社長、大型貨物機の導入検討 新経営計画「長距離供給増やす」 [2](26年3月2日)
決算
・JAL、26年3月期通期予想を上方修正 27年3月期は純利益1100億円 [3]
・JAL、純利益24.9%増1137億円 通期予想据え置き=25年4-12月期 [4](26年2月3日)
・JAL、純利益35.6%増676億円 国内線利用率は過去最高82.9%=25年4-9月期 [5](25年11月17日)
・JAL 25年4-6月期、純利益93.7%増 EBITは破綻前含め過去最高更新 [6]
・JAL、26年3月期純利益7.4%増1150億円予想 25年3月期は秋以降打ち返し [7](25年5月3日)