4月21日早朝に発生した国土交通省航空局(JCAB)の航空交通管制システム障害では、日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)で、羽田発着の国内線の対応差が鮮明になった。羽田-伊丹、札幌、福岡、那覇の幹線4路線をみると、JALは62便のうち36便が欠航、22便が遅延した。一方、ANAは88便のうち欠航10便、遅延41便で、欠航を抑えて遅延により運航を維持した形だ。

欠航・遅延便を表示する羽田空港第1ターミナルにあるJALの出発案内モニター=26年4月21日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
両社は国内線全体でも欠航便数の差が大きい。JALは223便が欠航し、3万2922人に影響が出た。ANAの欠航は30便で、約5700人に影響した。幹線4路線の数字をみても、欠航はJALが36便、ANAは10便で、対応方針の違いがそのまま表れている。利用者にとっても、早めに欠航したほうがよいという人と、どんなに遅れてでも飛んで欲しい人とで、分かれるだろう。
幹線4路線は、それぞれ特徴がある。ANAは伊丹を除く札幌(新千歳)、福岡、那覇の各線は他社運航のコードシェア便を含んでおり、便数がJALより多い。伊丹はコードシェアがなく、東海道新幹線という代替交通手段がある。福岡も新幹線がある一方、航空優位の幹線だ。札幌は便数規模が大きく、那覇は代替手段が事実上ない。こうした違いを踏まえても、JALが欠航で運航便を整理し、ANAが遅延を抱えながら便を残した構図は明確だ。

羽田空港第2ターミナルの出発案内を確認する利用客=26年4月21日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
伊丹線は、両社とも15便で同じ。JALは15便のうち11便を欠航し、遅延は3便だった。朝から昼過ぎまで大きく便を落とし、運航を絞り込んで整理した格好だ。これに対しANAは、欠航2便、遅延6便にとどまった。新幹線という代替手段がある路線でも、両社の判断は大きく分かれた。
福岡線も、新幹線がある一方で航空需要が強い代表的な幹線だ。JALは17便のうち12便を欠航し、遅延は3便だった。一方、ANAは27便のうち欠航4便、遅延10便だった。コードシェア便を含むため便数差はあるが、JALが大幅な欠航で運航できる便を整理したのに対し、ANAは多くの便を遅延しながら維持したことがわかる。
札幌線は、幹線の中でも便数規模が大きく、影響の広がりが見えやすい。JALは17便のうち9便が欠航、7便が遅延し、終日大きく乱れた。ANAは30便のうち欠航4便、遅延14便だった。こちらもコードシェア便を含むが、欠航率は低く、遅延で運航を維持した色が濃い。
那覇線ではさらに特徴が出た。代替交通が事実上なく、空の便の維持が利用者への影響に直結する路線だ。JALは13便のうち4便を欠航し、9便が遅延した。これに対しANAは16便で欠航ゼロ、遅延11便だった。那覇線は、JALが一定数を欠航して整理したのに対し、ANAは遅延が出ても運航を維持した構図がはっきり表れた。
今回のシステム障害では、欠航便数や影響人数の差だけでなく、各社がネットワークをどう守るかという考え方の違いも見えた。JALは「欠航して守る」、ANAはコードシェア便も含めて「遅らせて守る」。利用者から見れば同じ乱れでも、その中身はかなり異なっていた。
関連リンク
羽田空港 [1]
全日本空輸 [2]
日本航空 [3]
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