習近平政権が日本への渡航制限という事実上の“制裁”を強める中、年末の中国では航空会社やリース会社によるエアバス機の発注が相次いだ。中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)など航空会社3社とリース会社1社が、現地時間12月30日を中心に相次いでA320neoなど小型機の導入を発表。4社合計で145機、カタログ価格で総額200億ドル(約3兆円)規模にのぼる「爆買い」で、将来の成長に巨額資金を投じる。
積極投資を進める反面、足元では日本への団体旅行を止めている中国。一度失うと取り返しがつかない羽田発着枠は死守する一方、収支が危うい地方路線は政治情勢を言い訳にふるいにかけるという、したたかな計算も見え隠れする。
A320neoを発注した中国国際航空。写真は羽田を離陸するA321(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・A320neo系列を大量発注
・なぜか減らない羽田便
・白タク・違法民泊壊滅の好機到来
A320neo系列を大量発注
中国国際航空は30日、A320neoを60機発注すると発表。2028年から2032年にかけて受領し、フリート構成の最適化を図る。中国のフラッグキャリアらしく、政府による第15次五カ年計画などの発展戦略に基づく発注としている。
エアバスは天津に最終組立工場を構える。写真は天津製400機目のA320(同社提供)
LCC(低コスト航空会社)の春秋航空(CQH/9C)はA320neoファミリーを30機、上海吉祥航空(DKH/HO)は同25機、それぞれ発注すると発表。香港を拠点とする航空機リース会社、CALC(中国飛機租賃有限公司)も、A320neoファミリーを30機追加発注し、A321neoなどA320ファミリーの他機種への変更権(コンバージョン権)が含まれた契約を結んだ。
中国から世界各地へ感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束後、ポストコロナの需要回復に合わせ、中国の航空各社は機材更新を急いでおり、天津に最終組立工場(FAL)を構えるエアバス機の大量発注が続いている。
いずれも株主総会や関連当局の承認を経て正式発注となるが、中国共産党による独裁国家である中国では、こうした大規模投資が発表された段階で、発注が事実上決まったといえる。
なぜか減らない羽田便
一方で、日中間の路線網はこうした拡大局面とは異なるフェーズに入っている。高市早苗首相の台湾有事を想定した国会答弁に激怒した習主席ら中国政府は、日本への渡航自粛を自国民に繰り返し求め、現在は一部の旅行会社に対し、日本への旅行で必要となるビザ申請を従来の6割以下に抑えるよう求めており、団体旅行は中断している。
羽田を離陸する中国国際航空のA330(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
これにより、中国の航空各社は日本路線を縮小しているものの、発着枠を手放すと再獲得が困難な羽田空港は、中国8社と香港2社が北京や上海など本土6都市と香港へ就航しているが、大きな動きを見せていない。
習主席が本当に日本に制裁を加えたいなら、まず羽田路線を運休させるべきだ。しかし、実際の運休や減便は、首都圏