関西空港を運営する関西エアポート(KAP)は12月17日、国際貨物地区の改修プロジェクトを始めると発表した。貨物施設の拡張・改修やデジタル化、労働環境の改善など5項目を柱としたプロジェクトで、次の30年を見据え、将来的な潜在需要を取り込む。

貨物地区の改修プロジェクト「Cargo Next→」を始める関西空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
貨物地区の改修プロジェクト「Cargo Next→」は、貨物施設の拡張・改修▽デジタル化の推進・施設の効率的配置▽ステークホルダー(利害関係者)との連携強化▽労働環境の改善▽環境負荷低減、の5つを柱として進める。
貨物施設の拡張・改修は、上屋面積を最大50%、段階的に拡張する。まずは5%拡張し、施設リノベーションの同時実施も検討する。デジタル化はDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化技術の導入を検討する。
労働環境の改善は貨物地区の通勤・食事環境などが対象で、改善により「関空で働きたい」気持ちの醸成を図る。環境負荷低減は、電動トラックなどの充電設備により脱炭素化を進め、水素を活用した環境対策にも着手する。このほか、KAPが関係事業者と結成した「KIX Cargo Community」を強化する。
また今後10-15年間の優先事項としては、西日本の航空貨物ゲートウェイ実現を目指し、貨物の集約を図る。医薬品輸送も強化し、空港内に展開する専用の共同定温庫「KIX Medica」を強化するほか、航空機から上屋まで一貫したクールチェーンを提供する。このほか、加速するEコマース需要にも対応し、貨物需要に応じた航空網も充実させる。
1994年に開港した関空は開港から30年以上が経過し、貨物施設の老朽化が進んでいる。現状の貨物上屋はほぼ満床が続いており、関西地区で発生する貨物のうち約60%の取り込みにとどまっている。残りの約40%が潜在的需要と考えられることから、残りの需要の取り込みが課題となっている。関空は地理的優位性を生かし、西日本の貨物の取り込み強化を狙う。
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CARGO KIX [1](関西国際空港)
関西エアポート [2]
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