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JALスカラシップが50周年 閣僚も輩出、アジア太平洋の学生集う「みんな悩みは共通」

 日本航空(JAL/JL、9201)と公益財団法人JAL財団は7月15日、アジア・オセアニアの大学生を日本へ毎年招待し、日本との相互理解や交流を促進する「JALスカラシッププログラム」の50周年記念式典を都内で開いた。

修了式後に記念撮影するJALスカラシッププログラムの参加者たち=25年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
50年で1700人超
「みんなの悩み共通なんだ」

50年で1700人超

 JALスカラシップはアジア・オセアニア地域の大学生を対象としたもので、1975年の発足から今年の修了生までで1732人が参加し、閣僚や有力企業の経営者、外交官などを多数輩出しており、日本とアジア太平洋地域の連携に貢献している。毎回ひとつのテーマを設け、基調講演とフィールドワーク、ホームステイを柱とし、日本滞在中は日本語ですべてのプログラムが行われる。

スカラシッププログラムの成果発表会で講評を述べるJAL財団の赤坂理事長=25年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今年度のテーマは「SDGs」。中国・香港・台湾・韓国・フィリピン・ベトナム・タイ・カンボジア・ラオス・ミャンマー・マレーシア・シンガポール・インドネシア・インド・グアム・豪州で公募・選抜された大学生・大学院生25人と、コーディネーターとして日本からも7人の学生が参加した。6月25日から前半7日間はオンライン、7月2日から15日までは対面開催で、福岡県の宗像市や都内のJAL施設などを訪れた。

 財団の理事長を務めるJALの赤坂祐二会長は、修了式で「地球環境問題や地球温暖化は、我々の力で止められるのだろうか」と学生たちに問いかけ、「人類が進歩する過程で、運命的な課題かもしれない。知力、温かい豊かな心と、みんなで連帯すれば、非常に深刻な課題を乗り越えられる可能性は十分ある。皆さんの世代に託すのは心苦しいが、私も少しでも皆さんと一緒に何らかの解決策を見いだしていきたい」と語った。

「みんな悩みは共通なんだ」

 修了式後に取材に応じた赤坂氏は「学生さんが各国からこれだけ集まってくれて本当にうれしい。皆さんほとんど独学で日本語を学ばれていて、相当レベルが高く、驚いた」と喜びの表情を見せ、「同じ世代で違った国から同じ問題意識を持つ人たちが集まり、このままではいけない、という考えを共有していけば、少しずつ解決の糸口が見つかるのではないか」と期待を寄せた。

スカラシッププログラムの修了式でJAL財団の赤坂理事長から修了証書を手渡されたウチャンさん=25年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スカラシッププログラムの修了式でJAL財団の赤坂理事長から修了証書を手渡されたフダさん=25年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スカラシップのプログラムが、オンラインだけではなく、対面でも開く意義について、赤坂氏は「実際に顔を合わせてコミュニケーションするのは、どういう時代であっても重要で、非常に意味があると思う。航空会社だからではないが、彼らを見ていて感じた」と、実際に対面で議論することの重要性に触れた。

 韓国から参加したチョン・ウチャンさんは大学で日本語を学んでいるものの、日本人と会話する機会が限られていることや、さまざまな国の人たちと活動したいと、参加を決めたという。マレーシアから参加したヌル・フダ・ビンティ・ジャマルディン・ヒルミさんも大学で日本語と言語学を学んでおり、スカラシップに参加する色々な国の学生たちと、さまざまな言語で会話することにも興味があったという。

 ウチャンさんは、さまざまな国の学生たちと交流していく中で「国や人種が違っても、みんな悩みは共通なんだなと思い、これが相互理解への道なのではと感じました」と、感想を話した。

 フダさんは「顔を合わせて話ができたことで、関係がもっと強くなると思います。私にとって最高のプログラムでした」と、同世代の学生たちとの交流に手応えを感じていた。

修了式後に動画撮影するJALスカラシッププログラムの参加者たち=25年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
JAL財団 [1]
日本航空 [2]

JAL、スカラシップが40周年 アジアで閣僚輩出 [3](15年11月24日)