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ANA、新制服のデザイナー発表 2027年の創立75周年でお披露目へ

 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは7月3日、新制服のデザイナーを発表した。ANAが創立75周年を迎える2027年度下期以降に着用を開始する予定で、運航、接遇、機能系の3部門に分けてデザイナーを決めた。ANAが全職種の制服を一度にリニューアルするのは初めてで、75周年を迎える2027年12月にお披露目を予定している。

ANAの井上慎一社長(中央左)とともに記念撮影に応じる新制服をデザインする(左から)接遇部門担当の桑田悟史氏、運航部門の滝沢直己氏、機能系部門のアディダス ジャパンの萩尾孝平社長=25年7月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
井上社長「新しいチームANA」
機能性や暑さ対策も

井上社長「新しいチームANA」

 パイロット(運航乗務員)が着用する運航部門の制服はNAOKI TAKIZAWA DESIGNの滝沢直己氏、客室乗務員やグランドスタッフ(地上旅客係員)が着用する接遇部門は伊ミラノに拠点を置くSETCHU(セッチュウ)の桑田悟史氏、整備士、グランドハンドリング係員、貨物係員、機内食を機内へ搭載する「機内搭載係員」の機能系部門はアディダスが担当する。

制服リニューアルの狙いを説明するANAの井上慎一社長=25年7月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員とグランドスタッフは2015年のリニューアル以来約12年ぶり、機内搭載係員は22年ぶり、グランドハンドリングは23年ぶり、パイロットは37年ぶり、整備士は39年ぶりの新制服となる。客室乗務員の制服は11代目、グランドスタッフは8代目、パイロットは5代目、整備士は4代目、グランドハンドリングなどは2代目になる。

 ANAの井上慎一社長は「パンデミックの3年間は非常に厳しい日々を過ごしてきたが、厳しい中をくぐり抜けて社員は脱皮し、チーム力を増した」と述べ、「来年度から再成長に入り、2027年度は次の年で(タイミングが)ちょうど合う。新しいチームANAなので、(制服刷新は)バラバラではダメ」と、グループ初となる全職種の制服を同時にリニューアルする狙いを語った。

 新制服のデザインやコンセプトなどは、今後ANAとデザイナー側で協議していく。ANAによると、1つの職種でもっとも数が多いのは、グランドスタッフの制服になるという。

機能性や暑さ対策も

 ISSEY MIYAKEのクリエイティブディレクターを経て独立した滝沢氏は、パイロットの制服について、「スーツをしっかり着るよりも、ストレッチ性や通気性、軽量性といったスーツの機能性に慣れている方が多いのではないか。素材のイノベーションとともに、日本企業のアイデンティティみたいなもの入れていきたい」と意気込みを語った。

現行10代目制服初日を前にブリーフィングの準備をする客室乗務員(手前)と9代目制服最後の乗務を前にした客室乗務員=15年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機能系制服は酷暑対策も重要な要素に。写真は羽田空港でファン付きベストを着用して貨物コンテナの搭載作業にあたるANAのグラハンスタッフ=24年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員とグランドスタッフの制服を手掛ける桑田氏は、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループが若手デザイナーを選出する賞「LVMHプライズ」を、世界で初めて満場一致で受賞。機内と空港という、異なる環境下で働く職種の制服について「デザイン以上に機能性だと思う。客室乗務員の方は制服のまま休むこともあり、ベルトループがあっていいのかなど、どれだけ快適かが大事だと思う。グランドスタッフの形は、小柄な人が大きなスーツケースを持つこともあり、どうやってきれいに見せられるかと、ワクワクして想像しながらデザインを始めている」と、同じ接遇部門の制服でも、職場ごとの機能性を重視したものを提案していく。

 また、機能性の面では、最近はスニーカーに注目が集まっている。桑田氏は「個人的には靴派。個人の意見になるが、身だしなみを整えてお客様に対応するのは日本の文化だと思う。時代が変わっていくので、最終判断はANAにしていただく」と私見を述べ、ANAも新制服のデザインに合わせて今後検討していくという。

 制服3部門のうち、もっとも多くの職種が該当する機能系の制服は、熱中症対策のように、これまでANAが改善を進めてきたテーマも検討課題に入る。アディダス ジャパンの萩尾孝平社長は「暑さ対策はスポーツでも非常に重要。日本の暑さはスポーツ選手を悩ませる要因でもあり、日本の開発チームも対策を検討している。日本チーム主体で暑さ対策を考え、選手に用いてきたものや、これから用いるものを開発に取り入れていきたい」と、スポーツ選手向けの開発で得た知見を生かしていく。

 ANAの前身となる日本ヘリコプター輸送(日ペリ)は、終戦から7年が過ぎた1952(昭和27)年12月27日創立。1957年12月1日に社名を全日本空輸に変更した。その後、2013年4月1日に持株会社制へ移行し、持株会社のANAホールディングス(ANAHD、9202)に社名を変更するとともに、事業会社としての全日本空輸が新たにスタートした。

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