日本航空(JAL/JL、9201)は6月24日、利用者が航空券の予約などに使う同社のウェブサイトやスマートフォンアプリをリニューアルする方針を明らかにした。都内で同日開いた株主総会で、株主からの事前質問に答えたもので、新生アプリを今年度末、2026年度にはウェブサイトのデザインや機能を順次刷新するスケジュールを示し、不具合解消や利便性向上を目指す。

都内で開かれたJALの株主総会=25年6月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
グループCCO(最高顧客責任者)、カスタマー・エクスペリエンス本部長を務めるJALの青木紀将副社長は「ウェブサイトやアプリを“重要なお客様体験”と位置づけているが、一方で『使いづらい』『エラーが多い』『ログインできない』といったご指摘をいただいており、課題として真摯に受け止め、改善を進めている」と述べた。
改善にあたっては、従来のコンタクトセンターでの問い合わせ対応に加え、AIを活用したログ分析やウェブサイト上の利用者行動の解析を行い、発生頻度が高い不具合を特定して改修。昨年度は運賃・空席照会画面の障害やログイン時の認証エラーなどに対し、毎月または2カ月に1度の頻度で改修を実施。これにより、コンタクトセンターへの問い合わせ件数は減少し、利用者が自ら予約内容の確認や変更を行いやすくなっているという。
こうした取り組みを踏まえ、ウェブサイトとアプリの根本的な課題解決を進める姿勢を示した。アプリは今年度末に全面刷新し、2026年度にはウェブサイトのデザインと機能を順次刷新する計画で、「誰もが理解できるシンプルさ」を追求する。青木副社長は「機能の品質に集中し、シンプルな構成、直感的で見やすく、操作しやすいデザインを目指す。エラーの低減はもちろん、今後の機能改善にも柔軟に対応し、安定した動作を実現していく」と説明した。
青木副社長は、ウェブサイトやアプリを単なる予約確認ツールではなく、利用者と日常的につながるサービスへ進化させる意向を示した。
24日に開かれた第76期定時株主総会は鳥取三津子社長が議長を務め、738人の株主が出席し、所要時間は昨年より12分長い2時間12分で、退場者は出なかった。会場で質問した株主は12人だった。
会社側が提案した配当(剰余金の処分)、定款の一部変更、取締役9人の選任、監査役1人の選任の4議案はすべて可決された。一方、株主提案の第5号議案「定款一部変更(上場子会社又は上場関連会社への天下りの禁止)の件」と、第6号議案「定款一部変更(共同保有の開示)の件」は、いずれも会社側が反対した上、株主の3分の2以上の賛同を得られず、否決された。
関連リンク
日本航空 [1]
株主提案
・JAL、AGPに反論「面談は再三要請」非公開化は「最終判断済み」 [2](25年5月20日)
・JAL、投資ファンドの株主提案反対 空港施設めぐり定款変更要求 [3](25年5月15日)
新役員体制
・JAL、赤坂会長の代表権外れる 25年度役員体制 [4](25年2月26日)
24年の株主総会
・JAL株総、鳥取社長が安全トラブル陳謝 4年ぶり「退場を命じます」 [5](24年6月18日)