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国内線は「赤字体質」出張減とドル建てコスト増で航空各社苦境、国交省有識者会議が初会合

 国土交通省航空局(JCAB)は5月30日、コロナ後の生活環境の変化や円安影響を受け、国内線の事業環境が急激に悪化していることから、「国内航空のあり方に関する有識者会議」を立ち上げ、初会合を開いた。国内路線網の維持・拡充につながる方策を、2026年春をめどに取りまとめる。

国交省で開かれた「国内航空のあり方に関する有識者会議」の初会合=25年5月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
公的支援なしでは赤字
新幹線好む訪日客
高騰するホテル代

公的支援なしでは赤字

 航空局によると、全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)、スカイマーク(SKY/BC、9204)、エア・ドゥ(ADO/HD)、ソラシドエア(SNJ/6J)、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)の国内6社は、旅客数はコロナ前と同水準まで回復している。一方で、営業損益はコロナ影響を受けていない2018年度を100とした場合、2023年度は7.3、2024年度は-15.7と、公租公課の軽減効果を除いた実質的な営業損益では赤字に転落しており、特に国内線専業と言えるスカイマーク、エア・ドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの4社は、経営の厳しさが増している。

JALが国内線に投入するA321neoのイメージ(同社提供)

ANAのE190-E2(イメージ、エンブラエル提供)

 大手2社も、現在は国際線事業が旺盛なインバウンド需要の恩恵を受けているものの、数年に一度起きる世界規模の感染症や紛争、自然災害による需要の急減があり、コロナ前は国内線事業が営業利益の約4割を占めていたことなどから、国内線単独の収益性を改善しない限り、価格上昇が今後も続く機体やエンジンなどの設備投資が厳しくなる可能性が高まっている。

 航空各社では、ANAとJALによるグランドハンドリング業務の資格共通化、エア・ドゥとソラシドの共同持株会社設立、離島路線の系列を超えたコードシェアなどの取り組みがなされてきた。また、大手2社が発注してた国内線機材を見ると、JALが中型機ボーイング767型機の後継としてエアバスA321neo、ANAは従来保有していなかった100席クラスのリージョナルジェット機としてエンブラエルE190-E2を発注するなど、今後の機材更新時に小型化を進め、需給バランスの適正化を進める。

福岡空港の搭乗口に表示されたJAL便名とコードシェアのANA便名が表示されたJACの鹿児島行き3673便=22年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国交省で開かれた「国内航空のあり方に関する有識者会議」の初会合で挨拶する航空局の平岡成哲局長(右)=25年5月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 会議に先立ち、航空局の平岡成哲局長は「オンライン会議の普及などで、国内線事業は大きな成長が