日本航空(JAL/JL、9201)の鳥取三津子社長は5月2日、空港のグランドスタッフ(地上旅客係員)やグラハン(グランドハンドリング、地上支援)スタッフなど現業の待遇改善について、これまでの給与引き上げが退職率の改善につながったと述べ、今後も給与を含む待遇改善を検討していく考えを示した。

25年3月期通期決算会見で質疑に応じるJALの鳥取三津子社長=25年5月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
昨年2024年4月に就任した鳥取社長は、同年7月の決算会見で人件費について「費用ではなく、投資と考えている」と、安定的な人材確保に不可欠な投資だと述べた。就任から1年がすぎ、2日の2025年3月期通期決算会見に出席した鳥取社長は「一昨年は退職率が非常に高まり人材不足となったが、意義のある配分を確認して還元している。その結果、退職率がだいぶ下がってきたという報告を受けており、給料はもちろんだが働き方も含め、ほかの職種も見ながら見合った給料を払っていけるようにしていきたい」と語った。
採用競争が激しいパイロットについては、2021-2025年度中期経営計画の最終年度となる今年度のローリングプラン(改訂版)を発表した今年3月19日に、「先を見越して安定的に採用を続けている。流出の懸念もあると思うが、グローバルに見て賃金等の乖離があるところは重々承知している」(鳥取社長)と述べ、「一度にとはいかないが、継続して上げていきたい」と発言している。
JALの2025年3月期通期連結決算(IFRS)は、純利益が1070億円(24年3月期比12.0%増)で、売上収益は再上場後最高の1兆8440億円(11.6%増)、EBIT(財務・法人所得税前利益)は1724億円(18.7%増)と増収増益。営業費用は9.8%増の1兆6934億円で、このうち人件費は8.8%増の3634億円だった。年間配当は1株あたり当初より6円増配の86円を予定している。
2026年3月期の通期予想は、売上収益が1兆9770億円、EBITは2000億円、純利益は1150億円を見込み、年間配当は92円を想定している。
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