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航大”158センチ”撤廃へ 国交省、女性パイロット・整備士の比率向上目指す

 国土交通省航空局(JCAB)は、女性パイロットと整備士の比率を向上させるための施策を進める。日本の女性パイロットの比率は1.9%と世界平均の4.7%を大きく下回っており、国の航空大学校(航大)では、158センチ以上としている身長要件が女性参入の障壁の一つとされてきた。国交省はこれらの要件を撤廃し、新たに女性枠を暫定導入することで、10年後に女性比率10%を目指す。一方、現役パイロットの中には、性別以前に適性や能力で判断すべきとの声もある。

女性パイロットや整備士の比率向上を国交省は目指す=24年12月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
パイロットの女性比率向上へ
女性整備士の定着支援

パイロットの女性比率向上へ

 JCABの調査によると、日本の女性パイロット比率は1.9%。世界平均の4.7%や、タクシー(4.2%)、船員(2.9%)など他の交通業種と比べても低いとしている。パイロットの養成機関である航大では、身体要件や理系科目の高度な試験が女性志望者のハードルとなっているとの指摘があった。一方で、航大出身の女性パイロットも活躍している。

国交省が公表した操縦士・航空整備士の女性活躍推進WGとりまとめの概要

 こうした状況を受け、JCABは有識者会議「操縦士・航空整備士の女性活躍推進WG」(座長:松尾亜紀子・慶應義塾大学理工学部教授)を2024年10月に立ち上げ、2月21日にとりまとめを公表。航大の入学基準を見直し、2026年度の募集を目途に158センチ以上を求める身長制限を撤廃し、シミュレーターで操作能力を試験時に確認するよう変更する。また、2027年度を目途に、数学IIIなどの理系専門科目を削除する方針を示した。

 女性パイロットを増やす目的として「女性枠」の暫定導入も実施。2027年度募集を目途に実施する方針で、女性の入学比率を引き上げる。

 また、航空業界全体で女性が活躍できる環境を整備するため、官民連携の戦略的広報活動も展開。幼少期からの職業認知度向上を目指し、教育機関や家族に向けた啓発活動を行う。

 一方で、航空会社が運航する多くの航空機は、ボーイングやエアバスといった欧米のメーカーが製造しており、コックピットは大柄な