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英BAE、F-35向け次世代VMCの飛行試験成功 性能陳腐化を抑制

 英国の航空宇宙防衛大手BAEシステムズは、ステルス戦闘機F-35「ライトニングII」向けに同社が手掛ける次世代VMC(機体管理コンピューター)の飛行試験を終えたとこのほど発表した。今回の試験により、F-35の3機種すべてに対して搭載コンピューターの性能を向上させ、陳腐化の問題に対処する技術的なアップグレードが実証された。

BAE製次世代VMCの飛行試験に成功したF-35(資料写真)=23年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の試験は、米パタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)とエドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)で実施。BAEシステムズのVMCにより、複数の高度な制御モードが可能になり、ミッションの効率と安全性が高まるという。

 VMCは分散型アーキテクチャーを採用しており、厳格な要件が求められる環境でもミッションの有効性が向上。高い信頼性の下に航空機を運用できる。アップグレードしたVMCにより機体性能の陳腐化が緩和されるだけでなく、米軍と同盟国の航空機の安全性、保守性、可用性が高まるとしている。

 今回のアップグレードでは、クアッドコア・プロセッサーを組み込むことで、優れた効率性と高いパフォーマンスの両方を備えたソリューションを実現。コンピューターの処理能力が向上したことで、F-35にさらに多くの機能を加えながらも、パイロットの負荷を軽減できるとしている。また、JPALS(統合精密進入着陸装置)とAGCAS(自動地面衝突回避システム)などの高度な作戦機能も、VMCに加えられた。

 VMCに関する作業は、米ニューヨーク州エンディコットにあるBAEの施設で実施。BAEは、ロッキード・マーティンが主導するF-35プログラムの主要グローバル パートナーで、米国、英国、豪州の製造施設でF-35のVMC、電子戦(EW)システム、アクティブ インセプター制御システム、後部胴体を提供。作戦遂行能力を維持するための技術サポートや訓練サービスなども提供している。

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BAE Systems [1]
F-35 Lightning II [2]

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