成田空港、幕張メッセで21社合同説明会　2/6開催、グラハン・保安検査

　訪日需要や北米とアジアの乗り継ぎ需要の回復で、国際線の旅客需要が徐々に復調してきている。成田空港では訪日客（インバウンド）も増え、徐々にコロナ前の活気が戻ってきている。

　国際線の需要が回復する一方で、航空機の牽引や誘導などを行うグランドハンドリング、出発客全員が受ける保安検査、貨物の搭降載といった業務は、航空需要が急回復すると人手不足になりかねないという。海外の空港では手荷物の積み込みが間に合わなかったり、保安検査場を十分な規模で運用できないなど、人手不足が原因で運航に支障が出ているケースが、クリスマスシーズンや年末年始を中心にみられた。

　成田空港を運営する成田国際空港会社（NAA）は、2月6日に幕張メッセで旅客・貨物ハンドリングや保安検査など、空港内の関連企業21社による合同企業説明会を開催する。年齢・性別・学歴・経験は不問。通常は立入できないエリアを含む空港見学会も開き、実際に働く職場環境を見てもらう（見学会は1月27日で締切済み。説明会は予約不要）。

—記事の概要—
・ピーク対応の難しさ
・空の仕事を知ってもらう

ピーク対応の難しさ

　成田空港外で、NAAが大規模な合同説明会を開くのは初めて。説明会に携わる社員のひとり、エアライン営業部グランドハンドリンググループの西浦文吾マネージャーは「空港全体の将来的な労働力不足を解消するためです」と、職種横断で合同説明会を開く狙いを話す。

　航空機の牽引や誘導などを行うグラハンの場合、空港内に多くの事業者があるため、現在の状況だけでみると人手が足りている企業もあるという。一方で、需要が急回復すると人手不足に陥る可能性があるというのが、各社共通の危機感のようだ。

　毎月需要を見直して業務にあたり、事前に人を多めに雇い続けることが難しい点も、各社の悩みどころとなっている。また、旅客便は高需要の時間帯が生じてしまうため、どうしてもピークに応じた人数が必要になってくる。

　保安検査や貨物の取り扱いも、グラハンと同様にピークの時間帯に対応できる人数を確保する必要がある。今後の需要回復が急激なものとなった場合、発着便が重なる時間帯は円滑な空港運用が厳しくなる可能性もあるため、NAAとしては成田空港全体で空の仕事をアピールし、労働力不足になることを回避していきたいという。

空の仕事を知ってもらう

　航空業界に対する不安感や、これまで働いていた人の業界離れといった課題は、成田に限らず業界全体のもの。また、航空関連の専門学校に進学する人も、コロナの影響で減少傾向にあるようだ。

　学生向けの仕事体験会など、これまでNAAや航空会社などが開催していたイベントは、コロナで大半が中止。未来の担い手に仕事内容を知ってもらう貴重な機会を約3年間失ってしまった。

　西浦さんは「こういう仕事があるんだ、と空の仕事を知ってもらえる機会が激減してしまいました」と、空港で開くイベント以外にも、修学旅行の中止といった飛行機に乗る機会そのものが減ってしまったことも、“空の仕事への接点”という意味でこの3年間の痛手だったという。

　特にグラハンや保安検査、貨物といった分野は、いわゆる裏方の仕事。パイロットや客室乗務員とは違い、同じ空の仕事でも、学生たちには空港を利用しないと伝わりにくい職種とも言える。

　NAAでは、幕張メッセのような大規模会場でイベントを開催できるようになったことで、今回の合同説明会のように空港の仕事に関心を持ってもらい、航空業界を目指す人を少しでも増やしていく取り組みを進めている。国内の労働人口が減っていく中、「布石を打っていかなければなりません」（西浦さん）と長期的な課題として捉えている。

　日本がコロナ前と同様に観光立国を目指していく上で、空港のさまざま業種で働く人が安心して働ける環境を整備していくことも重要と言えるだろう。

成田空港 合同企業説明会・空港見学会
会場：幕張メッセ 国際会議場2F 国際会議室
午前の部：午前10時から正午
午後の部：午後1時から午後4時
対象：新卒者・既卒者・学歴・性別・年齢不問

関連リンク
成田空港 合同企業説明会・空港見学会 ^[2]（参加予定企業も記載）

・成田空港の合同説明会、幕張メッセで2/6開催　求むグラハン・保安検査［AD］ ^[3]（23年1月31日）