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羽田昼間発着枠、全日空11枠、日航5枠 国交省、将来の歪み懸念

 国土交通省は10月2日、2014年春に増枠される羽田空港国際線の昼間発着枠を、全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングス(9202)に11枠、日本航空(JAL、9201)に5枠を配分すると発表した。ANAの主張に沿った配分となった形だ。一方で、交渉が難航している米国の配分は見送られた。

ドイツはANA独占

羽田昼間発着枠はANAに11枠、JALに5枠配分=13年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 羽田の午前6時から午後11時までの昼間発着枠は、1日当たり40枠増える。今回は米国などを除く31枠の配分が決定。このうち日本の航空会社に16枠、相手国側に15枠を配分する。

 日本側の発着枠が2枠となったのは、全10カ国のうち英国とフランス、中国(北京)、シンガポール、タイ、ドイツの6カ国。ベトナムとインドネシア、フィリピン、カナダの残り4カ国は1枠ずつの配分となる。

 英国とフランス、中国、シンガポール、タイはANAとJALに1枠ずつとなったが、ドイツの2枠とベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダはANAに全枠を割り当てた。

将来的な歪み懸念

相手国ごとの配分(国交省の資料から)

 国交省航空局(JCAB)によると、現時点ではANAが主張する競争環境の歪みが生じているとは言えないが、ANAとJALの間に財務面で体力差が生じてきていると指摘。これが今後の歪みにつながることを懸念し、傾斜配分の判断に至ったという。

 JCABは昨年8月10日、「日本航空への企業再生への対応について」という文書で、JALの新規路線開設について「投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する」としていた。

 今回の配分の考え方として、「(12年度から16年度の中期経営計画に)明示的に位置づけられたものを除き、抑制的に判断する」と、JALの新路線開設に制限を設ける考えを示した。

 JCABによると、「関西空港や中部空港など、空港により事情が異なるため、一律に新路線開設を認めない訳ではない」という。

 来年の夏ダイヤは、10月10日までにIATA(国際航空運送協会)に対し、各空港で利用したい時間帯を申請する必要がある。今回配分が決まらなかった残り9枠については相手国と航空交渉を継続し、合意次第配分する。10日を過ぎて合意に至らない場合は、9枠の活用策を別途検討するという。

ANAは評価、JALは是正求める

 今回の配分について、ANAHDの伊東信一郎社長は、「日本航空の企業再生への対応について」に基づく判断がなされたと評価。「利便性の向上や、訪日需要の創出に真摯(しんし)に取り組んでいきたい」との声明を発表した。

 均等配分の主張が認められなかったJALは、「不公正な内容。かつ民間企業の自由な活動である新規路線開設を制限するという新たな基準を設けるもので、到底承服できない」として、説明と内容の是正を国交省に求めるとしている。

 昨年11月に配分された羽田の国内線発着枠は、1日25枠のうち、ANAが8枠、JALが3枠と傾斜配分が実施されている。

関連リンク
国土交通省 [1]

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