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次期戦闘機、日英伊3カ国共同開発 F-2後継35年配備へ、米とは無人機開発

 日本と英国、イタリアの3カ国は12月9日、次期戦闘機を共同開発すると首脳声明を発表した。航空自衛隊ではF-2戦闘機の後継となり、2035年までの開発・配備を目指す。日本が米国以外の国と戦闘機などの防衛装備品を共同開発するのは初めてで、開発の自由度を確保するだけでなく、開発コストの分担による抑制や、米国製装備品を調達する際の価格交渉力を高める思惑もあるようだ。

防衛省が発表した次期戦闘機のイメージ(同省提供)

防衛省が発表した次期戦闘機のイメージ(同省提供)

 日本はこれまで、先進技術実証機X-2をはじめ、三菱重工業(7011)などが次期戦闘機に関連する開発を進めてきた。1995年に初飛行し、2000年から配備が始まったF-2が、2035年ごろから順次退役するためだ。

 英国とイタリアは、英独伊西の欧州4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」の後継機として、2035年の就役を目指す次世代戦闘機「テンペスト」の開発を進めている。

ファンボロー航空ショーで公開された英国の次世代戦闘機「テンペスト」の胴体の一部=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

英国の次世代戦闘機「テンペスト」の模型=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今後は日英伊3カ国共同の「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)」として開発を進め、3カ国すべてが将来に渡り最先端の戦闘航空能力を設計、配備、アップグレードできる枠組みとした。

 各国で開発主体となる企業は、機体が三菱重工と英BAEシステムズ、伊レオナルド、エンジンはIHI(7013)と英ロールス・ロイス、伊アヴィオ、電子機器は三菱電機(6503)と英レオナルドUK、伊レオナルドで、各プロジェクトを統括していく。

空自のF-2A=22年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 共同声明では「イコールパートナーシップの精神で協力することで、私たちは人材とテクノロジーへの投資のコストと利益を分かち合う」とした。

 また、防衛省と米国防省は9日(米国東部時間8日)、共同声明を発表。米国は「日本の次期戦闘機の開発に関する英国及びイタリアという日米両国の緊密なパートナーとの協力を含め、日本の安全保障及び防衛協力について、志を同じくする同盟国及びパートナーとの協力を支持する」と、日英伊による共同開発を支持する考えを示した。日本と米国は、次期戦闘機とともに運用する無人機開発などで連携していく。

関連リンク
防衛省 [1]
航空自衛隊 [2]
Team Tempest [3](Royal Air Force)
三菱重工業 [4]
IHI [5]
BAE Systems [6]
Leonardo [7]

IHI、次期戦闘機のエンジン参画 日英伊が共同開発 [8](22年12月10日)
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日本の次期戦闘機、英BAEが開発支援提案 [10](20年11月4日)
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