1カ月ほど前、記者はピーチ・アビエーション(APJ)にとって10号機目のエアバスA320型機(登録番号JA810P)の命名式を取材するため、ドイツ・ハンブルクにあるエアバス社の工場を訪れた。エアバスではA320シリーズの最終組立を、仏トゥールーズとここハンブルクの2カ所で行っており、APJの機体は10機中2機がハンブルク製となった。
ドイツでのエアバスの拠点はハンブルク、ブレーメン、シュターデ、ブクステフーデの4カ所。中でも1万2500人以上の従業員を擁するハンブルクは、エアバスの全機種の開発やエンジニアリング業務で重要な役割を担っており、重要拠点だ。
ハンブルクでは、A320シリーズのA318、A319、A320、A321の計4機種すべての最終組立を3本のラインで行っている。エアバスによると、A320シリーズは月産42機体制で生産されており、このうち約半分の23機がハンブルクでの生産になるという。ちなみにトゥールーズ製とハンブルク製を航空会社が選ぶことはできず、その時の生産状況に応じて割り振られる。
最終組立ラインでは、大きく分けて前胴、中胴、後胴の3つの部位に対して作業が行われ、機体がライン前方に進むごとに各胴体の接合や、主翼やフラップ、主脚、尾部などの取り付けが行われていき、最終的には塗装を残すのみの外観に仕上がる。工場内は整理整頓が徹底されており、とても整然とした印象だった。
最終組立のほか、A320シリーズやA380の客室装備や塗装、A380の胴体の組み立ても担っている。A380の欧州と中東の顧客への引き渡しは、ハンブルクで行われている。また、約12万点のパーツが置かれてる巨大な補修部品センターや、A320シリーズ向けの整備訓練施設も擁している。
今回はハンブルク工場のうち、A320シリーズの生産ラインの写真をまとめた。次回はA380の胴体の組み立ての様子をお伝えする。(後編はこちら [1])