- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

中国の弾道ミサイル発射、航空各社は迂回対応 遅延は限定的

 防衛省によると、中国が8月4日午後2時56分ごろから午後4時8分ごろにかけて9発の弾道ミサイルを発射し、うち5発が日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下した可能性がある。航空各社でも、4日から台湾周辺を飛行する便が迂回(うかい)ルートを飛行し、通常よりもフライト時間が長くなるなどの影響が出ている。

中国が発射した弾道ミサイルの推定落下地点(防衛省の資料から)

 日本航空(JAL/JL、9201)によると、中国の軍事演習の影響で迂回ルートを飛行しているのは、台北(松山・桃園)、香港、バンコク、ホーチミンを発着する便。4日はミサイル発射関連の欠航はなく、迂回による遅延も限定的だったという。

 全日本空輸(ANA/NH)も、台北やバンコクなどの発着便が貨物便も含めて迂回ルートを飛行しているが、迂回が原因の遅延はほとんど出ていないといい、より影響が少ないルートを模索しているという。

 台北を離陸して日本へ向かう便は、通常は離陸後に北東へ針路を取る。4日はJALの台北(桃園)発成田行きJL802便(ボーイング787-8型機、登録記号JA833J)の場合、桃園を離陸して台北の東側から太平洋に出て海岸沿いに南下し、台湾南東の離島、緑島付近で東に進路を変え、宮古島の南の洋上を通過して成田へ向かった。

 ANAの台北(桃園)発成田行き貨物便のNH9648便(787-9、JA880A)は、桃園を離陸後に台北の西側から台湾海峡を南下し、台西郷から台湾内陸を南端の満州郷へ飛行して太平洋に出て、緑島の北、宮古島の南の洋上を通過して成田へ向かった。

 一方、台湾の航空会社は、桃園を離陸後に台北の東側から太平洋に出て、与那国島の北の洋上を飛行して中国の訓練空域を避けた後は、通常ルートを飛行していた。

 防衛省によると、4日に中国が発射した9発の弾道ミサイルは下記の通り。落下地点は1発目が沖縄県与那国島の北北西に中国が設定した訓練海域内で日本のEEZ外、5発目から9発目は、沖縄県波照間島の南西に中国が設定した訓練海域内で日本のEEZ内と推定されるという。

1発目:午後2時56分ごろ、福建省沿岸から発射し、約350km程度飛翔。
2発目:午後2時56分ごろ、中国内陸部から発射し、約700km程度飛翔。
3発目:午後3時14分ごろ、中国内陸部から発射し、約550km程度飛翔。
4発目:午後3時57分ごろ、浙江省沿岸から発射し、約350km程度飛翔。
5発目:午後3時57分ごろ、浙江省沿岸から発射し、約650km程度飛翔。
6発目:午後4時05分ごろ、福建省沿岸から発射し、約500km程度飛翔。
7発目:午後4時05分ごろ、福建省沿岸から発射し、約550km程度飛翔。
8発目:午後4時08分ごろ、福建省沿岸から発射し、約500km程度飛翔。
9発目:午後4時08分ごろ、福建省沿岸から発射し、約550km程度飛翔。

 中国は「台湾は中国の一部」と主張しており、米国のナンシー・ペロシ下院議長の訪台に激怒。今回の軍事演習では、台湾を取り囲むように6カ所の訓練海域を設定している。下院議長は米国の政治的なナンバー3で、現職下院議長の訪台は25年ぶりとなり、台湾は歓迎ムードに包まれていた。

関連リンク
防衛省 [1]
日本航空 [2]
全日本空輸 [3]

ペロシ下院議長搭乗のSPAR19、Flightradar24史上最多の追跡者記録 [4](22年8月3日)