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ANA宮川常務に聞く旅客需要とSAF 特集・IATA第78回AGM 日系航空会社インタビュー(後編)

 前編 [1]からの続き。6月にカタールのドーハで開かれたIATA(国際航空運送協会)の第78回AGM(年次総会)では、日本がこれまで採ってきたコロナ対策の入国制限について、いっそうの緩和を求める声明をIATAが発表。ウィリー・ウォルシュ事務総長に日本の水際対策について尋ねると、「科学に基づいたものではなく、ほとんど効果がない割に膨大なコストがかかる」と、今年に入り厳格な水際対策から方針転換し、回復する旅客需要を取り込めている豪州やニュージーランドを引き合いに、日本政府に対してさらなる入国制限の緩和を求めた。

ドーハで開かれたIATAの第78回年次総会ではコロナ対策と並びSAFなど温暖化対策もトピックに挙がった=22年6月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 コロナ対策と並び、今回のAGMで注目されていたのは代替燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」だ。従来「バイオ燃料」と呼ばれていたもので、これまでの植物油などに加え、さまざまな原料から製造されるようになり、IATAが呼称を改めた。今回のAGMでは、併催されるWATS(World Air Transport Summit:世界航空運送サミット)でSAFに関するパネルディスカッションが開かれた。

 国内のSAFに関する動向を振り返ると、全日本空輸(ANA/NH)がSAFを使った定期便を2020年11月6日に初めて運航。2021年10月には、同社便を利用する企業と共同でCO2(二酸化炭素)排出量削減に取り組む仕組み「SAF Flight Initiative(SAFフライトイニシアチブ)」も立ち上げた。今年に入ると、3月2日を“SAF(サフ)の日”と命名し、SAFの国産化を目指して日揮ホールディングス(1963)とレボインターナショナル(京都市)、ANA、日本航空(JAL/JL、9201)が有志団体「ACT FOR SKY(アクトフォースカイ)」を設立し、国産SAFの商用化や普及、拡大に取り組んでいる(関連記事 [2])。

 今回のAGMには、ANAからは国際提携などを担当している取締役常務執行役員の宮川純一郎氏らが出席。特集後編では、宮川常務に国際線やSAFの現状を聞く。

── IATAは日本の国境再開は不十分と指摘していたが、どのように感じられたか。

国内航空会社では初めてSAFを使用した日本発の定期便の運航を始めたANA=20年11月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

宮川氏:(日本政府の)骨太の方針でも