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羽田は仁川乗継客を取り戻せるか 大詰め向かえる国際線発着枠

 6600万人以上の年間利用者数を誇る羽田空港。2014年春に増枠される国際線の昼間発着枠の配分に向けた交渉が、大詰めを迎えている。

増築工事が進む羽田国際線ターミナル。14年春に増枠される国際線の昼間発着枠の行方は=13年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国内ではとかく、日本航空(JAL、9201)と全日本空輸(ANA)への配分が話題となっているが、昼間に羽田から欧米へ向かえる発着枠の配分ゆえ、日本へ乗り入れている海外の航空会社にとっても重要な経営課題。7月末には、デルタ航空(DAL)のリチャード・アンダーソンCEO(最高経営責任者)が来日するなど、幹部の訪日が相次いでいる。

 アンダーソンCEOは、「JALとANAがニューヨークでジョン・F・ケネディー空港に着陸できず、ニューアーク空港にしか着陸できないとしたら、日本政府はどういう反応をするだろうか」と現状の不公平さを訴えた。記者会見が進むにつれ、壇上から降りて記者席に近づいて力説する姿は、江戸時代に幕府へ開国を迫った米国海軍の軍人、マシュー・カルブレイス・ペリーのような気迫が感じられた。

 本記事では、羽田国際線発着枠がJALないしはANAへ重点配分された場合の、地方路線や運賃への影響を取り上げる。アンダーソンCEOへは単独インタビューを行ったので、記者が日経ビジネスオンラインで毎週水曜日に連載している「天空万華鏡 [1]」に掲載した。本記事と併せて、天空万華鏡の記事「航空業界の“ペリー”、日本の空の開国を迫る」 [2]もご覧いただきたい。

仁川から羽田へ乗継客を取り戻す

 羽田が再び国際線定期便を扱うようになったのは、2010年10月。一般財団法人運輸政策研究機構が5月に発表した調査結果によると、羽田の国際化で首都圏だけではなく地方在住者の利便性も向上した。

 これまで大韓航空(KAL)やアシアナ航空(AAR)を使い、日本各地からソウルの仁川空港経由で