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ベトナム航空A350巡り日系SPCが米連邦破産法11条申請 英ファンドは棄却求める

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で業績が悪化しているベトナム航空(HVN/VN)が保有する14機のエアバスA350-900型機のうち2機を巡り、リース料の支払猶予に端を発したトラブルが起きている。

ベトナム航空のA350-900=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ベトナム航空へのA350のリースに関連し、日系リース会社であるジャパンインベストメントアドバイザー(JIA、7172)が100%出資するJPリースプロダクツ&サービシイズ(JLPS、千代田区)が設立した2つのSPC(特定目的会社)が、米連邦破産法11条(チャプター11)をニューヨーク州南部地区破産裁判所へ現地時間2021年12月17日に申請した。JLPSによると、債務免除を求めたものではなく、債権者を守るために申請したという。

 JLPSが管理する2つのSPCは、ともにベトナム航空へA350を1機ずつリースしている。SPCのJPA第49号が登録記号VN-A895(MSN173)、JPA第111号がVN-A891(MSN67)のリースを目的に設立された。

 両SPCによるチャプター11の申請に対し、2021年12月に仏クレディ・アグリコルから債権を買い取った英国の投資ファンド、フィッツウォルター・キャピタル・パートナーズは「申請には課題がある」と異議を唱えている。フィッツウォルターは機体の差し押さえと競売に向けた準備を進めていたが、両SPCがチャプター11を申請したため、債権回収が停止されたためだ。

 フィッツウォルターは、JPA第49号と第111号によるチャプター11の適用申請を棄却するよう同裁判所へ訴えたが、2月1日に却下された。同社によると手続きはまだ進行中だといい、「日本の債権者は、JLPSから全額返済を受けられると言われたためチャプター11の手続きを支持しているようだが、日本以外の債権者は支持していないと理解している」とコメントした。

 JLPSとフィッツウォルター、それぞれの意図はどのようなものなのだろうか。

—記事の概要—
業績悪化でリース料先延ばし
A350を売り急ぐ意味

業績悪化でリース料先延ばし

 問題となっている2機のA350は、メーカーであるエアバスとSPCの間で機体が売買され、SPCが中間レッサーとなる