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世界最大の航空機An-225、現地で大破報道

 世界最大の航空機で完成機が1機しかないウクライナ製の超大型貨物機アントノフAn-225「ムリーヤ(ウクライナ語で「夢」を意味)」(登録記号UR-82060)がロシア軍の攻撃により破壊されたことが、現地報道で明らかになった。東日本大震災をはじめ多くの人道支援にも使用された機体だけに、ロシアを非難する声が高まっている。

アントノフAn-225「ムリーヤ」(同社サイトから)

 ロシアのテレビ局チャンネル1による現地報道は、首都キエフ近郊のホストメルにあるアントノフ国際空港に駐機中のAn-225が大破した様子を映し出した。製造メーカーのアントノフはこの動画に対するコメントをTwitterに投稿していないが、攻撃を受けた格納庫周辺を映した別の動画に対しては「専門家による確認までは、機体の技術的な状態について報告できない」と投稿しており、同社として公式な声明は日本時間4日午後8時(ウクライナ時間同日午後1時)の時点では出てない。大破した様子を伝える動画では、胴体が焼け落ちていることが確認でき、機首に記された「ANTONOV 225」の文字がかろうじて識別できる状態だ。

 An-225は旧ソ連の大型ロケット「エネルギア」やソ連版スペースシャトル「ブラン」を輸送するために開発された機体で、1988年12月21日に初飛行。商業運航は2001年に開始し、変圧器や移動式発電機など「オーバーサイズカーゴ」と呼ばれる大型貨物を搭載し、世界各地を飛行してきた。また、世界の平和維持活動や人道支援にも貢献し、2020年5月と6月に中部へ給油のために飛来した際も中国からカナダへ医療物資を運ぶ途中だった。

 機体の大きさは全長84.0メートル、全幅88.4メートル、全高18.1メートル。An-124「ルースラン」を基に設計され、主翼前後の胴体を延長した。貨物室の大きさは43.3メートル×6.4メートル×4.4メートルで、An-124より6.8メートル長い。エンジンはAn-124の4基から2基増えて6発機となった。アントノフによると、機体の耐用年数が延長され、少なくとも2033年までは運用できる状態だったという。完成機は1機のみで、キエフ近郊に未完成の2号機の胴体が保管されているが、現在の状態はわかっていない。

 航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、最後のフライトは2月5日のデンマークのビルンからアントノフ空港へ向かうADB3120便だった。

An-225とA380、747-8の大きさ比較(Aviation Wire作成)

アントノフAn-225「ムリーヤ」(同社サイトから)

関連リンク
ANTONOV Company [1](Twitter)
ANTONOV Company [2]

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