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日本は20年間で120機のリージョナル機需要 特集・エンブラエルが考える将来の航空市場(2)

 前回 [1]の続き。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で航空機に対するニーズも変化する中、リージョナルジェット市場で圧倒的な世界シェアを誇るブラジルのエンブラエルが、客室の騒音を低減した次世代ターボプロップ(プロペラ)機の計画を進めている。

羽田を離陸するエンブラエルE195-E2。リージョナル機の雄は今後の市場をどう見ているのか=19年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シンガポール航空ショーで公開されたE195-E2のビジネスクラス=20年2月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 では、エンブラエルの屋台骨であるリージョナルジェットのマーケットは今後どう変化していくのか。日本を含む多くの国で、コロナ前は50席クラスの機体を投入していた路線が70席クラス、90席クラスと成長してきた。

 日本で最初にエンブラエルのリージョナルジェット「E-Jet(Eシリーズ)」を導入した日本航空(JAL/JL、9201)グループのジェイエア(JAR/XM)も例外ではない。1クラス50席のボンバルディアCRJ200型機から同76席のエンブラエル170(E170)、高需要路線は2クラス95席のエンブラエル190(E190)と大型化した。Eシリーズは鈴与グループのフジドリームエアラインズ(FDA/JH)も導入している。

 前回に続き、エンブラエル民間航空機部門アジア太平洋地域副社長のラウル・ヴィラロン氏に、グローバル・アジアパシフィック市場と日本市場でのリージョナルジェットの今後の動きを聞いた。三菱航空機による国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発が事実上凍結されている中、新型エンジンを採用したE-Jetの後継機「E2」を擁する業界の雄は、リージョナル機の市場をどう見ているのだろうか。

—記事の概要—
リージョナルジェットで需給最適化
日本市場も置き換え需要

リージョナルジェットで需給最適化

── 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界全体とアジア太平洋地域の航空市場でリージョナルジェットの受注・納入は、今後どのように変化するとみているか。

バンブーがリース導入したE195(エンブラエル提供)

ヴィラロン氏:コロナ禍による危機からは多くのことを学んだが、航空市場がこの新たな時代に適応することにより、業界再編が進むだろう。

 海外への渡航制限と旅行需要の減少により、国内の地方間をつなぐことへの重要性が高まっている。長距離旅行よりも先に、地域への旅行が回復すると私たちは見込んでいる。各航空会社は運航コストに注意を払いつつ、この大きな変化に対応する必要がある。

 このような状況により、小型のナローボディー(単通路)機や当社が製造しているリージョナルジェットが世間の注目を浴びるようになった。アジア太平洋地域では、2020年以降、ベトナムのバンブー・エアウェイズ(BAV/QH)や、豪州のカンタス航空(QFA/QF)に代わり(豪州の地域路線を)運航するアライアンス航空(UTY/QQ)などといった複数の航空会が、E-Jetを新たに導入している。

 E-Jetを第2の都市へ新たに導入することで、これまで大型機で提供していた座席数を調整し、新たな収入源を確保している。これらの地域に導入されたE-Jetの95%が運航されていることから、各航空会社がいかに小型ジェット旅客機を利用しているのかがわかる。

── 今後10年間ではどの程度の需要が見込めるか。

ヴィラロン氏:当社が考える今後10年間の見通しに基づくと、150席未満の航空機(ジェット機やターボプロップ機)で新たに5500機の世界的な需要を見込んでいる。そのうち、1710機が中国を含むアジア太平洋地域に納入されるだろう。

 日本では、今後20年間で150席未満の航空機は120機の需要を見込んでいる。

── 航空機の需要に変化はみられるか。

ヴィラロン氏:コロナウイルスの世界的な流行により、運航パターンと新規航空機に対する需要を再編する短期的変化と長期的変化が生じている。これには主に4つの要因がある。

KLMオランダ航空のE190。世界の航空各社はリージョナルジェットで需給適正化を図る=20年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 1つ目はフリートの適正化だ。各航空会社は