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ANA、羽田でワクチン職域接種開始 パイロットとCAから

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は6月13日、新型コロナワクチンの職域接種を羽田空港で始めた。当初は国際線に乗務する機会のあるパイロットや客室乗務員合わせて約1万人を優先し、その後は国際線の乗客と接する機会のある空港の地上係員や、出発前に乗務員とやり取りする整備士などにも拡大する見通し。

羽田空港で新型コロナワクチンの職域接種を受けるANA客室乗務員の阿部美佳さん(中央)=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で新型コロナワクチンの職域接種を受けるANAの西川宗夫機長=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 対象はグループ社員約4万6500人で、モデルナのワクチンを使用。羽田空港内の会議室で、産業医や提携医療機関が実施する。1日あたり医師1人と看護師または保健師3人、会場運営スタッフが5人程度の体制で、接種者数は初日の13日は50人、14日からは1日100人と順次増やす。ANA上席執行役員の平澤寿一企画室長は「14日から本格接種を始め、21日からは1日300人に接種できる」と語った。

 職域接種は、職場や大学などの学校を含む職域単位でワクチンを接種するもの。ANAは受付初日の8日に政府へ申請した。当初は21日に開始予定だったが14日に早め、さらに前倒しして13日から始めた。運営を統括するANA企画室の山口忠克イノベーション・KAIZEN部長は、「複数部署と連携して前倒しできた」と述べた。山口部長によると、乗務スケジュールと接種機会の調整が難しいという。

 13日に接種したボーイング777型機に乗務する西川宗夫機長(52)は、北米や欧州へ向かう機会が多いといい、「一歩前進したと思う」と話した。いずれも日本と比べて新規感染者数が多い地域だが、「ホテルで待機するなどの対策をしっかりしていれば、それほど大きな不安はなかった」と接種前の様子を振り返った。

 客室責任者の資格を持つ客室乗務員の阿部美佳さん(51)は、2020年1月からANAが計5便運航した中国・湖北省武漢からの邦人帰国チャーターに乗務した経験を持つ。注射は恐くないという阿部さんは、「接種会場の皆さんがリラックスさせてくださったので、安心して接種できた」と笑顔を見せ、普段の乗務では「今まで以上に衛生面に気を遣うようになった」と話していた。

 日本航空(JAL/JL、9201)も、14日からグループ社員約3万6000人を対象に、羽田空港の会議室で開始する見込み。11日に明らかにしたところでは、1日300人程度接種できる見込みで、当初は国際線に乗務するパイロットや客室乗務員からスタートし、その後は国際線の運航に携わる整備士や地上係員など乗務員以外の職種にも拡大していく見通し。

*JALの職域接種はこちら [1]

羽田空港内に設けられたANAの新型コロナワクチン職域接種会場=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAが羽田空港内に設けた新型コロナワクチン職域接種会場で受付を済ませる客室乗務員=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新型コロナワクチン職域接種について説明するANAの山口忠克イノベーション・KAIZEN部長(右)と上席執行役員の平澤寿一企画室長=21年6月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
職域接種に関するお知らせ [2](厚生労働省)
全日本空輸 [3]

JALもワクチン職域接種 羽田でパイロットとCAから、週内に地上係員も [1](21年6月14日)
JALやANA、職場接種14日にもスタートへ [4](21年6月11日)