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ICAOら、ベラルーシ当局に強い非難 ライアン機強制着陸、反体制派を拘束

 現地時間5月23日に発生したベラルーシ当局によるライアンエア(RYR/FR)機の強制着陸について、各所から強い非難や懸念が出ている。国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)や周辺国の航空当局などがベラルーシに対し強い懸念を示していることで、国際問題に発展する可能性が出てきた。

ベラルーシ当局によりミンスクへ強制着陸させられたライアンエア(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ライアンエアが23日に運航したアテネ発ビリニュス行きFR4978便(ボーイング737-800型機、登録記号SP-RSM)は乗客123人が搭乗。午前10時10分にアテネを出発し、リトアニアの首都ビリニュスには午後1時に到着する予定だった。同便はリトアニアの隣国・ベラルーシの領空で同国の航空管制から「機内に安全上の脅威がある」との連絡を受け、ベラルーシの首都ミンスクに着陸するよう指示を受けた。

 同便はミンスク着後に乗客が降ろされ、ベラルーシ当局が検査。安全上の脅威は見つからず、ミンスクで7時間足止めされた後にビリニュスへ向け出発した。ロイター通信などによると、同便にはベラルーシの反体制派ジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏が搭乗しており、同氏はミンスク着後に身柄を拘束されたという。

 ICAOは現地時間23日に発表した声明で、ミンスクへの強制着陸に強い懸念を表明。締約国の領空飛行などに関する「国際民間航空条約」(シカゴ条約)に違反するとした。またICAO理事会36人の外交官代表による緊急会合を、27日に開催する。

英当局はベラヴィア航空(中央)を含むベラルーシ籍の運航許可を停止=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 英国のCAA(民間航空局)は24日に、ベラルーシ籍の運航許可を停止。同国のベラヴィア航空(BRU/B2)を始めとした定期航空会社のほか、チャーター航空会社にも適用する。また英国籍の全航空会社に対し、ベラルーシ領空を飛行しないように要請する通知も発行した。

 IATA(国際航空運送協会)のウィリー・ウォルシュ事務総長は、今回の強制着陸について「国際法のルールに反する」と強い非難を表明した。同便を運航したライアンエアは、ベラルーシ当局の行為を「航空法違反」と断じた一方、遅延をコントロールできなかったことについて利用客に謝罪した。

関連リンク
ICAO [1]
Civil Aviation Authority [2]
IATA [3]
Ryanair [4]
Minsk National Airport [5]