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ANA、ピーチ流顧客体験重視マーケティング体制 4月1日付役員人事と組織改正

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は3月2日、4月1日付の新役員人事と組織改正を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で事業環境が大きく変わる中、マーケティングやセールスは顧客体験(CX)を重視した新しい体制に改める。

—記事の概要—
役員人事
組織改正
21年4月1日付役員体制

役員人事

4月1日付で新役員体制発足と組織改正を実施するANA=21年2月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 主な役員人事では、ANAの代表権を平子裕志社長と井上慎一専務、安全統括管理者に就任する満倉達彦専務の3氏が持つ。また、現在代表権を持つ清水信三副社長は3月31日付で退任し、ANA総合研究所の会長に就任するが、副社長ポストの後任は置かない。

 財務統括責任者の福澤一郎常務は専務に昇格。常務には取締役の㓛刀秀記氏、横山勝雄氏、外山俊明氏の3氏が昇格する。新たに取締役に就くのは2人で、整備センター長の黒木英昭上席執行役員と人事部長の直木敬陽執行役員が就任する。

 上席執行役員となる執行役員は5人で、要海昌樹氏と遠藤達哉氏、杉浦賢氏、勝岡陽一氏、矢澤潤子氏が昇格する。

 新任の執行役員は6人。原尚子氏がANAテレマート社長、小山田亜希子氏が東京空港支店長とANAエアポートサービス社長、荒牧秀知氏がデジタル変革室長、米谷宏行氏が企画室企画部長、種家純氏がD&I推進部長、高柳直明氏が広報部長を務める。

組織改正

 組織改正では、CEマネジメント室とマーケティング室を統合してCX推進室を新設し、CE戦略部をCX戦略部に改称。顧客体験(CX)の価値向上のためマーケティング全般を統括し、部門横断的に取り組めるようにする。

 また、マーケティング室の宣伝部と観光アクション部、カスタマーコミュニケーション部を廃止。デジタルマーケティングと顧客コミュニケーション機能は、既存の業務内容を一部見直す子会社ANA Xへ、観光振興と戦略機能はANAの営業センターとANAあきんど(現ANAセールス)へ、協賛機能は業務推進部へ、それぞれ移管する。

 ANA Xの新社長には、ANAHD傘下のLCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)で初代CEO(最高経営責任者)を務めた井上専務が就任し、顧客の声から潜在ニーズを探り、具現化していくピーチ流のマーケティング手法を、FSC(フルサービス航空会社)であるANA本体でも強化していく。

 井上氏は2020年4月1日付で専務に就任し、ANAのマーケティングや営業を統括している。8月に始めた総2階建ての超大型機エアバスA380型機を使った遊覧飛行の発着地である成田空港では、マーケティング担当者とともに自ら参加者にヒアリングなどを行っていた(関連記事 [1])。

 安全推進センターには、航空保安部を新設。国土交通省航空局(JCAB)や関係各社からの航空保安対策の対応を迅速化する。

 オペレーションサポートセンターと空港センターは統合し、新たなオペレーションサポートセンターに再編。意思決定の迅速化と組織のスリム化を進める。また、貨物便運休により、北九州空港所を廃止する。

 整備センターでは、部品事業室内の機能を再編し、装備品生産業務部を装備品マネジメント部、原動機生産業務部を原動機マネジメント部に改称する。

 新型コロナの影響で需要が高まる貨物事業を担う貨物事業室は、マーケティング業務部と国内貨物サポート部を新設。一方、システム導入完了により、国内業務プロセス改革部は廃止する。

 営業センターには、地域創生事業を担当する地域創生部と、官公庁や皇室、政党、特殊団体などへのセールスを担う顧客販売部を新設する。

 また、東京本店と各地域の支社はすべて支店に改称。これまでは東京本店や各支社の下に支店が置かれていたが、各支店を営業センター長の直轄に再編する。販売計画機能を販売企画部に集約して、各支店は地域の代表として地方創生を進めていく。

*ANAホールディングスの役員人事と組織改正はこちら [2]

21年4月1日付役員体制

 4月1日付の役員体制は下記の通り(役職、担当業務、氏名の順で敬称略、括弧内は前職)。