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エアバス、A300貨物機のコックピット近代化 UPSに改修初号機

 エアバスは、米UPS航空(UPS/5X)にA300-600F型貨物機のコックピットを近代化した改修初号機(A300F4-600R、登録記号N173UP、MSN868)を引き渡した。ハネウェル製コックピット・アビオニクスを採用し、悪天候時などの安全性を向上させたもので、2022年の繁忙期までに全52機の改修を終える見込み。

エアバスが近代化改修を実施したUPSのA300-600Fのコックピット=PHOTO: P.Chenu/Airbus

 同機はUPSが運航している機体を改修したもので、EASA(欧州航空安全庁)による認証を2020年12月22日、FAA(米国連邦航空局)による認証を今年1月5日に取得し、2月3日に米アラバマ州モビールにあるエアバスの施設でUPSに再納入された。エアバスによると、A300に複雑な近代化改修を行うのは初めてだという。

 今回の改修では、ハネウェルの「Primus Epic」をベースにした最新の統合アビオニクスシステムを採用し、現行世代機のような運航の柔軟性を持たせた。4つの大型10×8インチLCDメインディスプレイと、新しいMCDU(カラーマルチファンクションコントロール&ディスプレイユニット)は、アナログ計器のいくつかを置き換えるもので、アップグレードされた計器パネルでもっともわかりやすい変更点になっている。

 新しいFMS(フライトマネジメントシステム)や、世界規模のナビゲーションデータベースのサポート、最新のGPSベースの衛星ナビゲーションシステムを搭載した新しいMMR(マルチモードレシーバー)、ATC(航空管制)との通信用デジタルデータリンク、中央メンテナンスコンピューター、乱気流検出とウィンドシア予測機能を備えたデジタル天候レーダーシステムなど、多くの機能が含まれる。

 今回のアップグレードでは、安全機能なども強化。最新のEGPWS(強化型対地接近警報装置.)、統合されたTCAS(航空機衝突防止装置)、新しいGPSベースの計器アプローチ機能などが含まれ、ILS(計器着陸装置)が設置されていない空港へ着陸する際にパイロットを支援し、悪天候時の安全性が向上する。

 A300は1972年に初飛行した世界初の双発ワイドボディー旅客機で、発展型のA300-600は1983年に初飛行した。今回改修されたN173UPは当初から貨物機として製造された機体で、2006年にUPSに引き渡された。エアバスによると、今回のアップグレードでは整備性も重視しており、2035年ごろまでは運航できるという。

エアバスが近代化改修を実施したUPSのA300-600F(同社サイトから)

エアバスが近代化改修を実施したUPSのA300-600Fのコックピット=PHOTO: P.Chenu/Airbus

改修前(左)と改修後のA300-600Fのコックピット(同社サイトから)

改修後のA300-600Fのコックピット(同社サイトから)

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