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那覇空港の滑走路無断進入、アシアナ機長が指示誤認 運輸安全委が報告書

 1年半前の2019年7月21日に、那覇空港で韓国のアシアナ航空(AAR/OZ)のソウル(仁川)行きOZ171便(エアバスA321型機、登録記号HL8256)が管制官の指示に従わず、着陸直前の旅客機がいる滑走路へ進入したトラブルについて、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は1月21日に報告書を公表した。

アシアナ航空のA321(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 OZ171便の男性機長(当時38)が、管制官から「滑走路に入り待機せよ」と指示されたと誤認。一方、男性副操縦士(35)は「滑走路手前で待機せよ」と指示を正しく把握していたものの、機長と副操縦士が管制官の指示を相互確認しなかったことが、誤進入の原因として考えられると結論づけた。

—記事の概要—
機長が誤認
副操縦士は把握も相互確認怠る
相互確認「ワークロード高い時こそ」

機長が誤認

 報告書によると、管制官はOZ171便に対し、滑走路(RWY18)手前の誘導路E1で待機するよう指示していたが、同機が滑走路に進入。これを受け、管制官は着陸許可を午後1時13分29秒ごろに得て滑走路へ最終進入中だった、着陸直前の日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)の久米島発NU212便(ボーイング737-800型機、JA01RK)にゴーアラウンド(着陸復行)を指示。着陸をやり直した。この影響で、NU212便の到着は定刻より13分遅れた。

OZ171便(A機)の那覇空港での推定地上走行経路(JTSBの資料から)

 アシアナのOZ171便には乗客143人と乗員8人が、JTAのNU212便には乗客53人と乗員6人が乗っていた。JTSBは、OZ171便が午後1時14分ごろに滑走路へ進入したと推定している。

 OZ171便が滑走路へ進入し、NU212便がゴーアラウンドした時点の両機の推定間隔は約3334メートル(1.8海里)で、国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)が定めた滑走路誤進入の危険度区分では、5段階あるうち中央の「カテゴリーC(衝突を回避するための十分な時間及び/又は距離があったインシデント)」に相当するという。NU212便は、OZ171便が滑走路へ進入したのが見えたため、ゴーアラウンドする心づもりをしたとしている。

 管制官は午後1時14分4秒ごろ、NU212便へゴーアラウンドを指示。OZ171便には同7秒ごろ現在位置で待機するよう指示した。

 OZ171便の副操縦士は機長に対し、「我々は滑走路進入の指示を受けていない」と指摘。機長が管制官に確認したところ、管制官は「Hold short of runway(滑走路手前で待機せよ)」と指示したことと、OZ171便からの復唱も同内容だったと返答した。これを受け、機長は「Oh, Sorry about that」と応じたという。

 その後、到着機との間隔があったため、管制官はOZ171便の離陸を許可した。同便はソウルへ定刻より2分早着となる午後3時23分に到着した。

 OZ171便の機長の総飛行時間は