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ANA、成田-深セン就航 初便13人、貨物需要も見込む

 全日本空輸(ANA/NH)は12月14日、成田-深セン線を週1往復で開設した。日中間の出入国規制緩和を受けたもので、国内の航空会社では初就航。ANAの新路線としては、3月16日開設で運休中の成田-ウラジオストク線以来約9カ月ぶりとなった。

成田空港でANAの深セン行き初便NH931便に搭乗する乗客=20年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
出張需要見込む
11月の中国便利用率74%

出張需要見込む

 深セン線は当初、羽田発着のNH965/966便として夏ダイヤ初日の3月29日から運航開始を予定していたが、中国から拡散した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、開設を延期。14日から成田発着のNH931/932便として毎週月曜に運航する。国際線の大幅な運休が続く中、ANAが運航中の中国路線は成田-上海(浦東)、広州、青島に続き4路線となった。

成田空港で深セン行き初便NH931便を見送るANAの地上係員=20年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 運航スケジュールは、深セン行きNH931便が成田を午前8時55分に出発し、午後1時5分着。成田行きNH932便は午後2時35分に深センを出発して、午後7時25分に到着する。機材はボーイング787-9型機(3クラス246席:ビジネス40席、プレミアムエコノミー14席、エコノミー192席)を投入する。

 成田発初便のNH931便(787-9、登録記号JA922A)は、現地へ赴任する人など乗客13人(ビジネスクラス9人、エコノミー4人)を乗せ、午前8時38分に出発した。ANAによると、折り返しの成田行きNH932便は、中国からの留学生など130人強の予約が入っているという。

 深センはハイテク製品を生産する工場が多く、電子部品の生産拠点や電気自動車の研究開発などの拠点があるため、旅客と貨物ともに需要が見込まれるという。旅客は日本発が出張、深セン発は出張に加えて新型コロナの感染収束後は訪日需要を見込む。

 現在は日本政府が中国路線の発着を成田と関西、中部、福岡の4空港に限定。ANAでは羽田が認められた場合、成田から変更することも検討する。

 成田と深センを結ぶ路線はANAのほか、中国の深セン航空(CSZ/ZH)が毎週日曜に1往復(ZH9051/9052)運航している。

11月の中国便利用率74%

 14日にオンラインで取材に応じたANAの白鳥康二広州・深セン支店長は、「日系企業の駐在員もほぼ戻っており、工場の生産体制はほぼコロナ前に戻っている」と話す。

成田空港でANAの深セン行き初便NH931便に搭乗する乗客=20年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 11月の中国路線のロードファクター(座席利用率)は74%で中国発の需要が高く、路線別では上海発が92%、広州発が86%、青島発が88%だったという。貨物はアジアから日本経由で北米へ向かう三国流動などが見込まれ、14日の深セン発は満載を予定している。

 白鳥支店長によると、ANAの現地体制は空港で運航にあたるスタッフが9人、営業が3人の計12人体制。深セン線は当初週7往復(1日1往復)の運航を予定していたため、現在の週1往復から増便されれば、空港のスタッフを増員する予定だという。

*写真は10枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。

成田空港でANAの深セン行き初便NH931便に搭乗する乗客=20年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire