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初の北方領土慰霊チャーター、HACのATR、中標津発着で

 北方領土近くの上空から元島民が慰霊するチャーター便が10月に運航された。北海道と元島民らによる千島歯舞諸島居住者連盟の共催で、北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が中標津空港発着のチャーター便を運航した。

中標津空港を出発する慰霊チャーターJL4364便=20年10月21日 PHOTO: Stringer/Aviation Wire

 例年行われている北方領土へのビザなし渡航が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止されたことから、代替措置の意味合いで実施されたもので、初の試み。中標津にHACの定期便は就航していないが、21日に2便、25日に3便の計5便の慰霊チャーターが運航された。国後島や歯舞群島が見える知床半島から根室半島を沿うルートを飛行し、上空から黙とうをささげた。

 21日は、慰霊チャーターで使用する仏ATR製ATR42-600型機(登録記号JA11HC、1クラス48席)が拠点の丘珠空港から到着。鈴木直道知事とHACの大堀哲社長らも同機で中標津入りした。

 チャーター1便目のJL4364便は、元島民や鈴木知事、鈴木宗男参院議員、鈴木貴子衆院議員ら30人を乗せ、午前10時40分すぎに中標津を出発し、午前11時45分ごろ戻った。2便目のJL4367便は24人を乗せて午後0時50分ごろ出発し、午後1時55分ごろ中標津に到着した。チャーターフライトを終えたATR42は、中標津を午後2時30分ごろ出発し、丘珠へ向かった。

中標津空港を離陸する慰霊チャーター2便目のJL4367便=20年10月21日 PHOTO: Stringer/Aviation Wire

 HACは、22年ぶりの新機材ATR42-600を4月12日に就航させた。1998年の就航当初から使用してきたサーブ340B型機(1クラス36席)の後継機で、これまでと同数の3機を導入して置き換えを計画している。慰霊チャーターは初の試みとなったが、例年利尻島の自治体向けの遊覧飛行を実施しており、今年は10月26日と27日に運航した。今後はサーブ退役に向けたチャーターも検討しているという。

 また、10月27日から札幌(丘珠)-女満別線を8年ぶりに再開した。

*写真は21枚。

中標津空港に掲げられた慰霊チャーターの横断幕=20年10月21日 PHOTO: Stringer/Aviation Wire