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ANA、21年3月期5100億円最終赤字に 片野坂HD社長「来期は黒字化」

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が10月27日に発表した2020年4-9月期(21年3月期第2四半期)の連結決算は、純損益が1884億7700万円の赤字(前年同期は567億8700万円の黒字)となった。2021年3月期通期の見通しは、2003年の連結決算移行後では最大となる5100億円の最終赤字(前期は276億5500万円の黒字)を見込む。

21年3月期は5100億円の最終赤字が見込まれるANA=20年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4-9月期の売上高は前年同期比72.4%減の2918億3400万円、営業損益は2809億5000万円の赤字(同788億8000万円の黒字)、経常損益は2686億7100万円の赤字(同815億1500万円の黒字)と、損益はすべて赤字。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、四半期決算としては2020年1-3月期から3四半期連続で赤字が続く。ANAHDの片野坂真哉社長は、「2期連続赤字は会計上のルールで厳しいものが出てくる。来年度(22年3月期)は必ず黒字化したい」と述べた。

 大量運休により、営業費用は41.4%減の5727億円。航空事業の営業費用のうち、燃油費・燃料税は75.1%減の413億円、整備部品・外注費は29.1%減の601億円、人件費は22.3%減の828億円だった。

 27日は事業構造改革も発表。契約制外国人パイロット主体で、アジア・リゾート路線を担うエアージャパン(AJX/NQ)を母体とする中距離国際線LCCを「第3ブランド」として2022年度をめどに就航。機材面では大型機を中心に経年機35機を退役させ、エアバスA380型機やボーイング777Xの受領を遅らせる。

 この結果、固定費を中心としたコスト削減効果は、2年間で約4000億円。このうち、2020年度は約1500億円、2021年度は約2500億円の削減を見込む。

 2021年4月には旅行商品を手掛けるANAセールスを会社分割の上、旅行事業はマイルなどを扱うANA Xと統合し、マイル会員情報を活用したプラットフォーム事業を進める。また、賃金削減に加えて、家電量販店のノジマや高級スーパーの成城石井、各地の自治体などの社外へ、12月までに約10社100人程度、来春には受け入れ先を拡大して400人以上の社員を出向させて人件費を抑える。

 金利が高い代わりに返済の優先順位が低く、一部を資本に組み入れられる「劣後ローン」による4000億円の借入を27日に契約した。借入日は10月30日で、弁済期間は35年と37年で2000億円ずつ、アレンジャーは日本政策投資銀行(DBJ)、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行の5行となる。

*中距離国際線LCCの記事はこちら [1]
*機材計画の記事はこちら [1]

—記事の概要—
国際線
国内線
貨物
LCC
有利子負債残高と自己資本比率
通期最終赤字は過去最大

国際線

ANAホールディングスの片野坂社長=20年10月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国際線の旅客収入は