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航空業界、下期に770億ドル流出の恐れ IATA見通し、政府に追加支援呼びかけ

 IATA(国際航空運送協会)は現地時間10月6日、航空業界は下期に770億ドル(約8兆1412億円)の現金が流出するとの見通しを発表した。中国から拡散した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅行需要の回復が遅れていることによるもので、IATAは各国政府に対し、航空会社への追加支援などを呼びかけた。

IATA見通しによると下期の航空業界で770億ドルの現金流出の恐れ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 月額に換算すると130億ドル、毎分30万ドルが流出することになるという。航空需要の回復の遅れにより、2021年も月平均50億から60億ドルが流出するとの見通しも示している。

 これを受け、IATAは各国政府に対し、航空会社への追加の財政支援など救済措置を講じるように呼びかけた。IATAによると、各国政府はこれまで賃金の補助や法人税の軽減など、1600億ドル相当を支援しているという。

 IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は、各国政府の支援について「航空産業が存続可能な状態を維持できる」と謝辞を述べた。一方で新型コロナによる危機が「想像よりも深く、長く続いている」とし、さらなる支援が必要だとの認識を示した。

 IATAの推計によると、航空各社は4-6月期(第2四半期)にコストを50%以上削減したが、収入は前年同期比で80%近く減少。これにより、航空業界は510億ドルの現金を使い果たしたことになる。現金の流出は続いており、下期にはさらに流出すると予測している。

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