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SlackとZoomでエアライン講座 関学がリモート開講中

 新型コロナウイルスの感染拡大で、大学でも講義をリモートで開講するケースが多く見られる。関西学院大学経済学部の野村宗訓教授が昨年立ち上げ、2年目に入った「エアラインの実務を学ぶ」もその一つだ。野村教授が運営に携わる西宮市大学交流センターの共通単位講座のオリジナル科目で、航空会社や旅行代理店、国土交通省などからゲスト講師を招き、ビジネス向けチャットアプリ「Slack(スラック)」やビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用して航空産業や空港経営などのテーマを取り上げている。

「エアラインの実務を学ぶ」のSlack画面(野村教授提供、編集部で一部画像処理)

 野村教授によると、この共通単位講座は関学を含む同市内にある9大学の学生が対象。ほかの講座の受講生が通常10-20人程度に対して昨年は140人が受講し、パイロット1人と客室乗務員3人を輩出したという。

 今年度は遠隔授業で開始する方針が決まったのは、「3月20日ごろだった」と運営に携わる関学の向井光太郎非常勤講師は説明する。このころ西宮市内の各大学では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する情報が出始めたころで、状況が好転すれば教室での授業に戻す予定で5月15日からスタートした。

 ゲスト講師もSlackやZoomを使って参加しており、担当外の授業に大手航空会社のパイロットが飛び入り参加するといったケースもあるそうだ。

 向井さんは、遠隔授業について「共に学ぶ受講生と講師とのダイレクトコンタクトなライブ感が薄れることが短所だが、Slackでいつでもオンライン上のコミュニケーションが取れることが長所」と、メリットとデメリットを挙げた。

 ウェブによる講義は退屈だと感じていたという野村教授も、「掲示板機能で事後の意見交換も講師陣同士で始めている」と、時間と場所を選ばずに講座の関係者が交流できる点を評価している。

 これまでに「航空関連産業へのアプローチ」「レガシーとLCCの企業比較」「安全運航とリスク管理」「新規航空会社の経営戦略」「関西6空港の有効活用」といった講義が開かれ、Slack上には学生から機材や航空会社の業態などに対するコメントが寄せられていた。

 大学交流センターは6月2日から開館するものの、利用には制限を設ける。春先に教室が使えない中、「意地でも開講した」(向井さん)というこの講座。野村教授は「現在は窮地にあるエアライン業界だが、将来のソリューションを若い人が業界の方と語り合う場にできる」として、意欲のある学生が航空業界に進むきっかけになりそうだ。

関連リンク
西宮市大学交流センター 共通単位講座(学生) [1]
関西学院大学 [2]