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JALの20年3月期、純利益64.6%減 1-3月期最終赤字229億円、菊山専務「あくまでも自助努力」

 日本航空(JAL/JL、9201)が4月30日に発表した2020年3月期通期の連結決算は、純利益が前期(19年3月期)比64.6%減の534億700万円と大幅な減益となった。2021年3月期通期の見通しは、中国から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響が見通せないとして、公表を見送った。

20年3月期の純利益が64.6%減となったJAL=20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2020年3月期通期の売上高は5.1%減の1兆4112億3000万円、営業利益が42.9%減の1006億3200万円、経常利益が38.0%減の1025億7100万円と大幅な減収減益。営業費用は前年並みの1兆3105億円で、このうち燃油費が3.1%減の2434億円、機材費が13.6%増の1275億円、整備費が2.9%増の750億円、機内やラウンジなどのサービス費が2.0%減の444億円、人件費が2.0%減の2962億円などとなった。

 期末配当は無配で、年間配当は中間配当の1株55円のみ。2021年3月期の配当は未定とした。

—記事の概要—
20年1-3月期
資金調達と雇用
国際線
国内線
貨物
為替と燃油、有利子負債残高
21年3月期見通し

20年1-3月期

 2020年1-3月期(第4四半期)に限ると、売上高は前年同期比21.3%減の2803億円、営業損益は195億円の赤字、経常損益は192億円の赤字、純損益は229億円の赤字で、1-3月期の利益が赤字に転落するのは、2012年9月19日の再上場以来初めて。

 1-3月期は世界各国の入国制限や、日本国内の移動自粛などが大きく影響。2月以降は国際線と国内線ともに旅客需要が急激に落ち込こみ、運休や減便、小型化を実施した。国際線は2月時点では中国路線に限定的な影響で約1割が運休・減便となったが、3月からは対象路線が拡大し、約4割になった。国内線も3月6日から対象となり、16%が運休や減便となった。

 一方、貨物については医薬品や食料品の輸送など、国際線と国内線合せて3月から5月までに1922便の運航を計画している。

資金調達と雇用

 30日にオンラインで決算発表した菊山英樹・代表取締役専務執行役員は、「新型コロナウイルスの影響は、いまだかつて経験したことのないイベントリスク。今後も柔軟な路線や便数の見直しをしていきたい」と語った。

 JALでは、4月から役員報酬の一部自主返上を始め、もともと計画していた普通社債200億円を前倒しで3月13日に発行。手元資金を確保した。資金調達について、菊山専務は「2月から4月末まででトータル1043億円の資金調達を実施した。さらに追加の資金調達も調整を続けている。収束の兆しが見いだせず、いくつかのシナリオを想定している」と説明した。

 公的資金に対しては、「ストーリーが見えない中、あくまでも自助努力。ステップを追って金融機関と相談していく」と語った。

 一方で、客室乗務員の一時帰休は実施せず、乗務のない日は教育や訓練に充て、新型コロナウイルス収束後の競争環境激化に備える。菊山専務は「雇用を守ることが大前提」と述べ、現時点で人員削減や一時帰休の考えはないと語った。

国際線

 国際線の旅客収入は