- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

東京五輪の聖火、TOKYO 2020号で松島基地到着 悪天候で1時間早着

 東京オリンピック・パラリンピックの聖火が3月20日、聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」により、ギリシャから宮城県の航空自衛隊松島基地へ到着した。

聖火特別輸送機TOKYO 2020号でギリシャから松島基地に到着した聖火を掲げる野村忠宏さん(左)と吉田沙保里さん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 聖火は3月12日にギリシャのオリンピアで太陽光から採火されたものの、中国から拡散し欧州で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、聖火リレーが途中で中止。アテネから松島基地までの空輸も、当初はオリンピックで3連覇した男子柔道の野村忠宏さんと、ロンドンまで3連覇し、前回2016年のリオデジャネイロで銀メダルを獲得した女子レスリングの吉田沙保里さんらが現地から運ぶ予定だったが、松島基地で出迎える形に急遽変更された。

 松島基地に到着した聖火は、吉田さんと聖火リレー公式アンバサダーを務める野村さん、宮城県出身のお笑いコンビ「サンドウィッチマン」(伊達みきおさん、富沢たけしさん)、女優の石原さとみさん、パラリンピック射撃元日本代表の田口亜希さんらに出迎えられた。

松島基地に着陸する聖火特別輸送機TOKYO 2020号=20年3月20日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

 聖火を運んだTOKYO 2020号は、日本航空(JAL/JL、9201)のボーイング787-8型機(登録記号JA837J)を使用。機体前方に聖火ランナーのピクトグラムが描かれ、垂直尾翼には東京大会の聖火リレーエンブレムがデザインされた。機体全体で聖火リレーによる1本の希望の道を表し、「2020号」は英語の「Go」とかけた。機体前方には、東京大会のオフィシャルパートナー(航空輸送カテゴリー)を務める全日本空輸(ANA/NH)とJALのロゴが描かれている。

 TOKYO 2020号はアテネ行きJL1964便として、羽田を18日午後0時50分に出発し、アテネには午後6時33分に到着。松島基地へ向かうJL2020便は、19日午後3時11分にアテネを出発して、予定より約1時間早い20日午前10時に到着した。松島基地周辺では、早朝から強風が吹いており、着陸できない場合は到着地を羽田へ変更する可能性もあったが、到着を早めることで回避した。

 JALの赤坂祐二社長は、「昼にかけて天候が悪くなる予報だったので、早く到着するようにした。ベテランを中心に、いいチームで運航できた」と笑顔を見せた。植木義晴会長は、「(定刻の)午前11時にこだわるよりも、とにかく聖火を到着させなければならない。(代替案の一つである)新幹線も(強風で)遅れており、到着できてよかった」と、大役を終えて安堵(あんど)していた。

 ANAの平子裕志社長も「無事到着できてよかった」と喜び、ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は、ANAとJALの社員らと記念撮影して喜びを分かち合っていた。

松島基地上空でカラースモークの「リーダーズベネフィット」隊形を披露するブルーインパルス=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 到着式では、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」がカラースモークで五輪の輪などを上空で描き、聖火到着を祝った。

 今回の到着式には、地元の子供たちを招待する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、式典の規模を縮小したことで中止になった。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元衆院・石川2区)は、「子供たちと一緒に出迎えられなかったことが非常に残念。組織委員会としても苦渋の選択だった」と、胸中を明かした。

 到着式後は、野村さんと吉田さんから聖火がサンドウィッチマンの2人に託され、石巻市の「復興の火」の展示へ向かった。

*写真は28枚。
*写真特集はこちら [1]

松島基地に着陸した聖火特別輸送機TOKYO 2020号=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に着陸した聖火特別輸送機TOKYO 2020号を見守るJALのグランドハンドリングスタッフ=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着する聖火特別輸送機TOKYO 2020号=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着しコックピットから喜びを表す聖火特別輸送機TOKYO 2020号のパイロット=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火特別輸送機TOKYO 2020号=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に陸路で到着した組織委の森喜朗会長=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火特別輸送機TOKYO 2020号=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

強風が吹く中、聖火特別輸送機TOKYO 2020号を出迎えて到着を喜ぶANAHDの片野坂真哉社長(左)とANAの平子裕志社長=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火特別輸送機TOKYO 2020号が到着しANAとJALの運航業務に携わる社員と記念撮影するANAHDの片野坂真哉社長(左)=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火を出迎える石原さとみさん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火特別輸送機TOKYO 2020号のドアを開けるJALのグランドハンドリングスタッフ(手前)と作業を見守る先任客室乗務員=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火特別輸送機TOKYO 2020号でギリシャから松島基地に到着した聖火を手にタラップを降りる野村忠宏さん(左)と吉田沙保里さん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火特別輸送機TOKYO 2020号でギリシャから松島基地に到着した聖火を運ぶ組織委の森喜朗会長=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火を聖火皿にともす野村忠宏さんと吉田沙保里さん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地を出発するブルーインパルスのT-4=20年3月20日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

風が強い中、松島基地上空でカラースモークによる五輪を描くブルーインパルス=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地上空でカラースモークの「リーダーズベネフィット」隊形を披露するブルーインパルス=20年3月20日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

聖火をサンドウィッチマンの2人に託す野村忠宏さん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「復興の火」の展示へ出発するサンドウィッチマンの2人=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「復興の火」の展示へ出発するサンドウィッチマンの2人=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火を囲む(左から)吉田沙保里さん、野村忠宏さん、石原さとみさん、田口亜希さん=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火特別輸送機TOKYO 2020号から植木義晴会長や赤坂祐二社長らに手を振る客室乗務員ら=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

聖火特別輸送機TOKYO 2020号の客室乗務員らに手を振る赤坂祐二社長ら=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火特別輸送機TOKYO 2020号の前に並ぶANAとJALの客室乗務員=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

松島基地に到着した聖火特別輸送機TOKYO 2020号の前に並ぶANAとJALの客室乗務員=20年3月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
東京オリンピック・パラリンピック競技大会 [2]
全日本空輸 [3]
日本航空 [4]

羽田を出発
聖火輸送機、羽田からアテネへ出発 TOKYO 2020号、JALとANA協力 [5](20年3月18日)

成田から羽田に移動
聖火輸送機、羽田へ移動 まもなくアテネへ、JAL787にANAロゴも [6](20年3月17日)

成田で準備作業
聖火輸送機、格納庫から姿現す 成田でエンジン試運転 [7](20年3月15日)

TOKYO 2020号のデザイン披露
東京五輪聖火輸送機のデザイン披露 787にANAとJALロゴ並ぶ [8](19年10月25日)

YS-11聖火輸送
「フレンドシップで運ぶと思っていた」ANA整備士から見たYS-11聖火輸送 [9](18年8月16日)
「名古屋からは乱気流で大変でした」ANA客室乗務員から見たYS-11聖火輸送 [10](18年8月14日)

東京2020
成田空港、五輪1年前イベント フェンシングをデモ披露 [11](19年7月24日)
五輪旗、羽田到着 ANAとJAL機、SKY格納庫に並ぶ [12](16年8月24日)
ANAとJAL、2020年東京五輪公式パートナーに 森会長「両社ロゴが並ぶのは稀少」 [13](15年6月15日)

JA837J
ボジョレー・ヌーボー初荷、羽田に3192本着 JAL便で [14](19年11月1日)
JAL、ドラえもんジェット就航 787で北京・広州 [15](17年5月18日)
JALスカイスイート787、フランクフルトへ初便出発 [16](14年12月1日)
JAL、最新787は快適性で勝負 写真特集・スカイスイート787 [17](14年12月1日)
JAL、787新仕様機が成田到着 ビジネスがフルフラットに [18](14年11月26日)