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日本から2時間半の欧州、機内食は軽め JALウラジオストク初便搭乗記

 日本航空(JAL/JL、9201)の成田-ウラジオストク線が2月28日に就航した。1855年の日露和親条約から165年がたった今年、「日本から一番近い欧州」とも呼ばれるウラジオストクへ、日本の航空会社として初の定期便を就航させた。

JALの成田-ウラジオストク線エコノミークラスの機内食。ケーキは初便のみ=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 当紙では就航当日の記事 [1]ウラジオストク行き初便の動画 [2]、駅や地下街などウラジオストクの街中で撮った動画 [3]をすでに掲載しているが、今回はウラジオストク行き初便の搭乗記を取り上げる。

—記事の概要—
東京-沖縄並みの飛行時間
機内食はクロワッサンサンド
地元の期待大きく

東京-沖縄並みの飛行時間

 JALのウラジオストク線は当初週3往復で水曜と金曜、日曜に運航し、3月29日開始の夏ダイヤから週7往復のデイリー運航に増便する。機材はボーイング737-800型機(2クラス144席:ビジネス12席、エコノミー132席)を使用する。

成田空港でJALのウラジオストク行き初便に搭乗する乗客=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田発ウラジオストク行きJL423便初便の機内で機内食を乗客に手渡すJALの客室乗務員=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 冬ダイヤ最終日となる3月28日までの運航スケジュールは、ウラジオストク行きJL423便が成田を午前11時30分に出発し、午後2時55分着。成田行きJL424便は午後4時15分にウラジオストクを出発して、午後5時30分に到着する。フライトタイムは約2時間半で、東京から4時間かかる台北よりも近く、羽田から那覇へ向かう程度の時間だ。

 成田でチェックインする際に気をつける点は、電子ビザを取得後、プリントした紙を持参することだ。ロシア入国時のビザに関するトラブルを防ぐため、JALの地上係員からはビザをプリントアウトした紙の携行を求められ、忘れていた私はターミナル内のコンビニでプリントして搭乗することができた。

 こうした書類は、空港で用意しようとすると店が閉まっていたり、プリントする複合機が壊れていたりといったアクシデントに遭遇しかねないので、事前に用意して空港に向かうのが得策だ。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、成田での就航式典は簡素化されたが、搭乗口に飾られた風船の中には、ロシアの民芸品「マトリョーシカ」をかたどったものもあった。PBB(搭乗橋)前に風船で作られたゲートでは記念撮影する乗客も多く見られ、機内にもマトリョーシカ風船が飾られていた。

 初便のウラジオストク行きJL423便(737-800、登録記号JA310J)は、乗客117人(幼児なし)と乗員9人(パイロット3人、客室乗務員6人)を乗せ、成田を午前11時35分に出発して同54分に離陸。ウラジオストクには午後2時56分に着陸して、午後3時4分に到着した。

機内食はクロワッサンサンド

 JL423便に乗務する客室乗務員たちは、ほかの便と同じく全員がマスクと手袋を着用していた。特に機内での初便記念イベントはなかったが、初便を狙って搭乗した乗客も多く、機内の様子をスマートフォンなどで撮影している姿がみられた。

JALの成田-ウラジオストク線エコノミークラスの機内食=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 フライトタイムが短いとあって、エコノミークラスの機内食は「生ハムとモッツァレラチーズのクロワッサンサンド」と「ヨーグルトマンゴーソース」という、かなり軽めのメニューだ。私が乗った初便は記念にケーキも出てきたが、普段は飛行機に乗らない人の場合、それなりのボリュームの機内食を想定していると、ウラジオストクに着いてから夜ご飯までが空腹との戦いになりそうだ。

 旅慣れた人でも注意が必要なのは、成田のサクララウンジでの食事だ。新型コロナの影響を受け、軽食メニューなどがかなり限定されている。私が立ち寄った際はJAL名物のビーフカレーも提供がなかった。機内食が軽めなら、カレーで腹ごしらえして乗ろうと考えていたのだが、あえなく失敗した。サクララウンジやファーストクラスラウンジが使える人の場合、新型コロナの影響がある間はラウンジの食事についても、情報収集しておいたほうがいいだろう。

 場合によってはラウンジに寄らず、ターミナル内のレストランで昼ご飯を食べてしまう方が、規則正しい食事ができる。

まもなくウラジオストクへ着陸=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国内線のようなフライトタイムだが、ウラジオストクが近づくと雪と針葉樹林が見えてくる。北海道とも違う、北の大地を眺めながら空港へ着陸した。移動式のレーダーが深いオリーブ色で、軍の基地へ降り立ったような感じだったが、到着して検疫の係員が搭乗してきた以外は、ほかの路線と特に違いはなかった。

地元の期待大きく

 到着ロビーに出ると、やたらと愛嬌のいいクマの着ぐるみなどで、地元の人たちが歓迎してくれた。ロシアというと、ちょっと恐いイメージを持っている人もいると思うが、日本の地方空港で海外からの初便を出迎える光景のような雰囲気だった。

ウラジオストク空港に着陸した成田発JL423便初便=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港で成田発JL423便初便の乗客を出迎えるクマの着ぐるみ=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ウラジオストクは、これまで多くの韓国人が訪れていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、現在は事実上韓国人が入国できない状態だ。このため、地元は日本人客への期待が大きいようだ。

 すでに動画ではウラジオストクの街並み [3]を取り上げているが、ロシアを欧州とカテゴライズするかはさておき、わずか2時間半で日本やアジア諸国とは異なる風景が広がる体験は不思議なものだった。時差も日本と比べて1時間進んでいるだけと、身体への負担も少ない。

 アジアとは違った体験ができる旅先に、わずか2時間半のフライトでたどり着ける。ウラジオストクは一見の価値がある街と言えるだろう。

*写真28枚と動画2本。



成田空港の搭乗口に飾られたJALのウラジオストク線就航を祝うゲートで記念撮影する乗客=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク行きJL423便の入口に飾られたマトリョーシカの風船=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク行きJL423便のエコノミークラス=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク行きJL423便の後方も出発前は飾り付けがされていた=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発するウラジオストク行きJL423便初便=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港を出発しウラジオストクへ向かうJL423便初便から見えた富士山=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田発ラジオストク行きJL423便初便の機内で機内食を乗客に手渡すJALの客室乗務員=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

まもなくウラジオストクへ着陸=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港に着陸する成田発JL423便初便=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港に駐機中のS7航空の機体=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストクに到着するJALの成田発初便JL423便=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港で成田発JL423便初便の乗客を出迎える地元の人たち=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港でJALの成田発初便JL423便の乗客を出迎える地元の女性たちと写真に写りたがるクマの着ぐるみ=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの成田線就航式典が開かれたウラジオストク空港=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港の自動販売機=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港の出発案内=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港を出たところ=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストク空港の外観=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

到着当日夜のウラジオストクの街中=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ウラジオストクの街中。やっぱり寒い=20年2月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
日本航空 [4]

就航当日の記事
JAL、成田-ウラジオストク就航 週3往復、3月から毎日 [1](20年2月28日)

JALウラジオストク就航の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル [5]
冬のウラジオストク 東京から2時間半【ロシアまち歩き】 [3]
【初便搭乗】JALウラジオストク就航 成田発JL423便 [2]

ANAもウラジオストク就航
ANA、成田-ウラジオストク就航 初のロシア路線、新型コロナで乗客40人 [6](20年3月16日)

ウラジオストク線
JAL、成田-ウラジオストク2月就航 ベンガルールは3月、SFO・グアムも強化 [7](19年10月30日)
JAL、ウラジオストク20年2月就航へ 前倒しで日本初の定期便、成田発着 [8](19年10月30日)
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ANAとJAL、ウラジオストク就航へ 20年に成田から [10](19年7月29日)
JAL、ウラジオストク就航へ 20年に成田から [11](19年7月26日)