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最終便に乗れなかった人のためのJAL MD-90写真特集(後編)

 3月30日で17年間の運航に幕を閉じた日本航空(JAL、9201)の旧マクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-90型機。旧日本エアシステム(JAS)が1996年4月1日から運航を開始し計16機を導入したMD-90は、故・黒澤明監督が「日本の朝」「日本の空を彩る七色の虹」をテーマにデザインした、7種類の機体塗装が施されていた。

 当紙ではJALのパイロットと整備士に機体の特徴や、これまでの運航について伺う座談会を開き、MD-90について語っていただいた(前編 [1]後編 [2])。写真特集の前編 [3]では、客室の中でもシートを中心に写真を掲載した。今回はコックピットとギャレー(厨房設備)、ラバトリー(洗面所)と、乗客が普段あまり見る機会がない場所を取り上げた。格納式タラップや後部ドアも、最近の運航では使用されなくなり、目にする機会が減っていた。

DC-9からの天測窓が残るMD-90のコックピット=13年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「線に沿って止められたかが気になりましたね。自己満足ですが(笑)」と話す宮﨑さん=13年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「空港に着いて後部ドアから降りると、(スポットに書かれた)中心線に沿ってまっすぐ止められたかが気になりましたね。まぁ、我々の自己満足ですが(笑)」と、後部ドアが運航時に使用されていた頃をMD90運航乗員部(取材当時)の宮﨑利夫機長は懐かしそうに語る。

 機外を撮影していると、JALエンジニアリング(JALEC)羽田航空機整備センターの田倉正尚マネジャーが「燃料計が使えない場合の最終手段は、これなんですよ」と、主翼下の燃料ゲージを出してくださった。同センターの畑中英明整備士によると「機体の傾きなどを考慮して燃料の残量を計るのですが、最近はまず使わないです」という。ボーイング787型機にはこのゲージはないそうだ。

 計器の一部がデジタル化されてもDC-9からの天測窓が残るなど、機体のあちこちに過渡期を感じさせるMD-90。ダグラス社もかつてのライバル、ボーイングに買収され、100席以上の旅客機市場を争うのはボーイングとエアバスのみとなった。MD-90の退役によりダグラス機が日本の空から姿を消したことで、一つの時代が終わったと言えよう。

JAL最後のMD-90となったJA8029のコックピット=13年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機長側のコックピット=13年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire