「最上級の機内空間をお届けするため、6年間の年月をかけて準備してきた」。社長時代に日本航空(JAL/JL、9201)の次世代主力機としてエアバスA350 XWBを選定した植木義晴会長は9月1日の羽田発福岡行き初便の出発前、搭乗口前に集まった乗客にこう語りかけた。
JALがA350の発注を発表したのは2013年10月7日。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、米国のボーイングと相場が決まっていたことから、欧州のエアバスを導入するこの発表は、日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。ボーイング777型機の後継として、標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。
JALにとって、初のエアバス機は統合前の日本エアシステム(JAS)が導入し、退役済みのA300-600R。操縦桿がボーイング機はコントロールホイール、エアバス機はサイドスティックと大きく異なるのが特徴だが、このA300はまだサイドスティックではなかった。このため、サイドスティックを採用した現在の姿のエアバス機は、JALにとってA350が初めてとなった。
—記事の概要—
・「まったく違和感なかった」
・「世界一機内が静か」
「まったく違和感がなかった」
植木会長は、「社長になった2012年の夏から大型機の後継機選定が始まった。ボーイングには何度も行ったことがあるが、エアバスはなかった。A350も出来ていなかったし、シミュレーターもなかったので、A380のシミュレーターに乗せてもらった」と、当時の状況を乗客に説明した。
ダグラスDC-10やボーイング747-400、ボンバルディアCRJ200を操縦してきたパイロット出身の植木会長は「40年間コントロールホールでやってきたが、(A380のシミュレーターは)まったく違和感がなかった。エアバスもボーイングも、超一流の航空メーカーで双方信頼できると確信した」と話し、このシミュレーター体験が事実上ボーイング一辺倒だった