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ANA、企業向け研修に「ポケトーク」 訪日客への“苦手意識”払拭狙う

 ANAホールディングス(9202)傘下のANAビジネスソリューションは9月から、企業向けに展開している研修プログラムに、AI通訳機「ポケトーク」の導入を開始する。導入前の8月27日には、東京・港区にある同社の品川事業所で説明会を開催。訪日客への対応力強化を目指す病院や鉄道会社など、約20社からおよそ25人が参加した。

ANAビジネスソリューションの研修プログラムでポケトークの使い方を示す中西さん(左)=19年8月27日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ポケトークはソースネクスト(4344)が開発したAI翻訳機で、端末に話しかけると英独仏中など74言語を双方向に通訳できる。ANAビジネスソリューションは企業向け研修プログラムで、接遇とマナーのほか「おもてなしの心」なども講義。プログラムにポケトークを組み込み、講義の参加者が実際に扱う。実践を通じ外国の異文化交流を深め、訪日客対応の苦手意識払拭を狙う。

 27日の説明会は、英仏韓中の各言語を話すANAのスタッフが参加。訪日客に扮し、参加者とポケトークを通じて交流を図った。講師は全日本空輸(ANA/NH)の客室乗務員、中西かなえさんが務めた。

 参加者は、訪日客とのコミュニケーション方法を座学。数の数え方や日本語と他言語の差異などを学んだ。中西さんは日本語を、曖昧な表現を好み多くを話さない傾向にある「高文脈(High Context)」、英語などを細部まで言語化して直感的で分かりやすい表現を好む「低文脈(Low Context)」と表現。文化を背景にした言語の違いを説明した。

 座学後、参加者と訪日客に扮したANAスタッフがポケトークで会話した。「駅はどこか」「トイレはどこか」などの実用的な文例のほか、中にはこれまでの経歴を話すなど、多少踏み込んだ使い方をする参加者もみられた。

 参加者のひとりはポケトークについて「簡単に操作ができ、日常会話がすみやかにできた」と、楽しそうに話した。

 ANAビジネスソリューションはこれまで、地方自治体や観光施設などに研修をパッケージで提供している。地方自治体などの顧客から、言葉がすぐに覚えられずコミュニケーション面で課題があるなど、解決方法を求める声があったことから、ポケトークの導入を決めた。今後はポケトークを含めた研修のパッケージ販売を強化していくという。

ポケトークを導入したANAビジネスソリューションの研修プログラム=19年8月27日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANAビジネスソリューションの研修プログラムでポケトークの使い方を示す同社スタッフら=19年8月27日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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