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キャセイパシフィック航空、新CEOにタン氏 香港デモ引責辞任、中国政府が締め付け

 香港のキャセイパシフィック航空(CPA/CX)は現地時間8月19日、新経営陣を発表した。香港で身柄を拘束された容疑者を中国本土へ移送可能にする逃亡犯条例の改正案に反対する市民デモに、パイロットなど社員が参加したことで、ルパート・ホッグ前CEO(最高経営責任者)らが引責辞任したことに伴うもの。新CEOには、同じくスワイヤーグループの航空機整備会社「HAECO(香港エアクラフト・エンジニアリング)」のグループCEOを務めたオーガスタス・タン氏が19日付で就任した。

キャセイパシフィック航空の新CEOに選任されたオーガスタス・タン氏(同社資料から)

 ホッグ前CEOとポール・ルー・カスタマー&コマース最高責任者が、16日に辞任を申し入れ、受理された。新CEOのタン氏は1959年生まれで、香港中文大学経営学部を卒業し、1982年に幹部候補生としてキャセイパシフィック航空に入社。入社以来37年にわたりスワイヤーグループで要職を歴任しており、新CEO就任前はHAECOのグループCEOと、ジョン・スワイヤー&サンズの取締役を兼任していた。

 ルー氏の後任には、7月に香港エクスプレス航空(HKE/UO)のCEOに就いたロナルド・ラム氏が任命された。香港エクスプレス航空の新CEOが決まるまでは兼務する。1972年生まれで、英国ケンブリッジ大学を卒業後、1996年に幹部候補生としてキャセイパシフィック航空に入社している。

 キャセイパシフィック航空のジョン・スローサー会長は、「キャセイパシフィックは基本法に記された一国二制度の下での香港を全面的に支持するとともに、香港の未来は明るいものだと確信している」とコメントしている。

 監督するCAAC(中国民用航空局)は、デモに関与した社員を中国本土便に乗務させないことを求めるなど、同社への締め付けを強めている。香港を代表する企業のトップ交代により、一国二制度の形骸化や中国政府のさらなる監視が強まるおそれがあるだけではなく、中国政府の人権軽視などでアジア経済の要衝である香港の地位低下につながりかねない。

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キャセイパシフィック航空 [1]

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