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民営化後の熊本空港、51年度の旅客622万人 地方空港最多の国際線目指す

 国土交通省は4月15日、三井不動産(8801)を代表とする11社のコンソーシアム(企業連合)が提案した熊本空港の民営化プランを公表した。新ターミナルビルの供用から約30年後となる2051年度には、国際線17路線、国内・国際を合わせた旅客数を622万人を目標とし、地方空港では最も多い国際線ネットワークの構築を目指す。

リニューアル後の熊本空港(イメージ、MSJA・熊本コンソーシアムの提案資料から)

—記事の概要—
23年に新ターミナル
二次交通充実で個人訪日客獲得も
JAL/ANAも参画

23年に新ターミナル

 優先交渉権者となったコンソーシアム「MSJA・熊本コンソーシアム」は、実施契約の締結後、2020年4月から熊本空港の滑走路やターミナルビルなどを一体的に運営する。既存の国内線ターミナルビルを取り壊し、2023年には国内・国際線が一体となった新ターミナルビルの供用開始を目指す。

 新ターミナルビルは内際共用として整備。保安検査通過後、搭乗直前まで締め切り時間を気にせずに過ごせる、国内初の「滞在型ゲートラウンジ」とする。

 出発エリアには自動チェックイン機やスマートレーンなどを導入し、ファストトラベル化を進める。制限エリア内の店舗面積は、現在の54平米から2500平米に大幅に拡張する。免税店の面積も現在の約10倍に増やす。

二次交通充実で個人訪日客獲得も

 新ターミナルビルを供用する2022年度までは、国際線は既存4路線のみとし、既存路線の増便などを計画。供用後は中国本土や台湾、韓国などの東アジア路線を誘致し、2027年度には7路線増の11路線を目標とする。2027年度以降は東アジアのほか、バンコクやハノイ、マニラなどの東南アジア路線の拡充を図り、2051年度には6路線増の17路線を見込む。

 熊本空港の2017年度総旅客数は334万人で、国内線318万人、国際線16万人。2051年度は622万人(国内線447万人、国際線175万人)を目標とし、交流人口の拡大により、2016年に発生した熊本地震からの“創造的復興”を目指すとしている。

 空港から各地への二次交通の充実も図り、観光地へのバス路線を現在の11路線から23路線に拡大。福岡や長崎、鹿児島からのバス路線も運行し、外国人の個人旅行客の獲得強化を目指す。

リニューアル後の熊本空港(イメージ、MSJA・熊本コンソーシアムの提案資料から)

JAL/ANAも参画

20年4月に民営化する熊本空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 11社で構成する「MSJA・熊本コンソーシアム」は、三井不動産を代表とし、九州電力(9508)と九州産業交通ホールディングス、九州産交運輸、テレビ熊本、再春館製薬所の地元企業5社と、双日(2768)とサンケイビルが参画。航空関連ではANAホールディングス(ANAHD、9202)と日本航空(JAL/JL、9201)、羽田空港の国内線ターミナルなどを運営する日本空港ビルデング(9706)が構成員として加わっている。

 今後、4月に基本協定、5月に運営権設定と実施契約を締結。7月にビル施設など事業を開始し、2020年4月に空港運営事業を開始する。選ばれた企業は特別目的会社(SPC)を設立し、運営にあたる。運営期間は33年間で、オプション延長を15年以内とし、不可抗力での延長なども含め最長で58年間とする。

 現在は空港施設は国が、ターミナルビルは県や熊本市など周辺自治体、ANAHD、JALなどが出資する熊本空港ビルディングが、駐車場は空港環境整備協会が運営している。

 熊本空港は1960年、熊本市健軍町の旧陸軍飛行場跡地で供用を開始。滑走路は1200メートルだった。1971年に現在地の菊陽町に移転し、供用を開始した。当初、2500メートル滑走路で運用を開始し、1980年に3000メートルに延伸している。

関連リンク
熊本空港特定運営事業 [1](国土交通省)
熊本空港 [2]
三井不動産 [3]
九州電力 [4]
九州産業交通ホールディングス [5]
九州産交運輸 [6]
テレビ熊本 [7]
再春館製薬所 [8]
双日 [9]
サンケイビル [10]
日本空港ビルデング [11]
全日本空輸 [12]
日本航空 [13]

熊本空港の民営化
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