総2階建てのエアバスA380型機が、成田空港へ降り立った。5月24日から全日本空輸(ANA/NH)が成田-ホノルル線に投入する3機のA380のうち、初号機(登録記号JA381A)が3月21日に仏トゥールーズから到着した。
時折強い風が吹く中、A380は安定した着陸を見せた。そして全長72.7メートル、全高24.1メートルという巨大な機体の割に、4基のロールス・ロイス製Trent 900(トレント900)エンジンは静かだ。
今年6月には、エアバスの最新鋭機A350 XWBの標準型A350-900が、日本航空(JAL/JL、9201)へ初めて引き渡される予定だ。A350-900も、ロールス・ロイス製Trent XWBを採用しており、客室内の静粛性に貢献している。
近年日本市場で存在感を増しているロールス・ロイスのエンジンについて、同社の技術研究分野を統括しているポール・スタインCTO(最高技術責任者)に現状と今後を聞いた。
前編では、Trentシリーズの現状や、次世代の低燃費・低騒音エンジン技術「UltraFan」を取り上げる。
ファンは大型化
── JALが6月にA350-900の初号機を受領するが、Trent XWBの優位性は。
スタイン氏:Trent XWBはTrent 700(A330向け)と比べ、15%燃費が良くなっており、世界でもっとも燃費の良いエンジンだ。
Trentファミリーは脈々と続いているが、XWBがTrentファミリーとして新規開発するエンジンでは最後になるのではないか。まったく新しいエンジンを開発しているからだ。
次世代航空機のために新しいエンジンコアを開発しており、「UltraFan(ウルトラファン)」と呼ぶ新たなファンも作っている。Trent 700と比べ、新しいコアとUltraFanで燃費が25%向上する。
もちろん、Trentファミリーを使ってくださる顧客も多いので、Trentのバリエーションは開発していくが、次世代機ではUltraFanのエンジンを採用していただきたい。
── UltraFanの概要を教えて欲しい。
スタイン氏:Trent XWBのファンケースも大変大きく、コンコルドが通り抜けられるほどだ。UltraFanはさらに大きく、Trent XWBと同じパワーで直径