- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ANA地上係員が企画したカフェ、羽田にオープン 利用客からの一言きっかけに

 羽田空港の国内線第1ターミナル5階に、12月19日にオープンした複合商業施設「THE HANEDA HOUSE」には、カフェや物販店のほか、フィットネスやマッサージなど14店舗が入居する。全日本空輸(ANA/NH)グループは航空系では唯一となる店舗を企画し、カフェを運営する。カフェはANAの地上係員(グランドスタッフ、GS)が立案し、実現にこぎ着けた。

「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」を企画したANA Xの羽田さん=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
利用客のひとことで思いつく
格納庫をイメージした店内
「市街地出店で接点作る」

利用客のひとことで思いつく

ANAとPABLOがコラボしたカフェ「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ANAと焼きたてチーズタルト専門店PABLOがコラボしたカフェ「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」を企画したのは、現在はANA Xの事業推進部ライフスタイルサービスチームに所属する羽田(はだ)香織さん。羽田さんは2013年5月から今年9月まで、国内線のGSとして働いていた。

 羽田さんは空港の利用客から、「街中でANAを感じられる場所がないよね」と言われたことで、カフェを思いついたという。「高校時代からカフェを作りたい、という夢があった」と振り返る羽田さんは、「『誰かのための空間を作りたい』というのが、GSの次にやりたかったこと」と話した。

 カフェ運営は、グループ社員が夢を実現する提案活動「ANAバーチャルハリウッド」で企画した。2017年4月から今年3月までの1年間、GSとして働きながら企画を練った。その後、企画は社内のプレゼンを通過。運営は、ANAグループでマイレージ事業などを手がけるANA Xが手がけることになった。

 ANAのターゲット層となる50代男性よりも下の年齢層へのアプローチや、顧客との接点などを模索していたANA Xは、羽田さんのカフェ企画が活かせると判断。その後、THE HANEDA HOUSEを運営する日本空港ビルデング(9706)から、同施設への出店計画を聞き、事業化した。

 羽田さんはANA Xでテナントに着手した今年5月以降、企画には携わらず、GSとしての毎日を過ごした。その後、羽田さんは直談判し、ANA Xに異動。10月からはカフェ企画に再び加わっている。

格納庫をイメージした店内

 店内の内装は、米西海岸にあった昔の格納庫をイメージし、木材を多用。実際の機材から取り下ろした機体部品のほか、整備工具もインテリアとして配置している。

 壁には、航空写真家のルーク・オザワさんが撮影した機体写真を飾る。オザワさんはオープン前の19日午前、写真にサインした。

 店頭では、手のひらサイズのチーズタルト「PABLO mini(パブロミニ)」やスムージーなどのスイーツのほか、パスタやカレーなどの軽食も提供。マグカップなどのグッズも販売する。

「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」の壁に飾った写真にサインするオザワさん=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」で提供する軽食=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」で販売するタルト(右)とグッズ=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「市街地出店で接点作る」

 今後、カフェはどのように展開するのか。羽田さんは、「羽田の店舗を拠点とし、市街地に出店してお客さまとの接点を作っていきたい」と話す。カフェは、20代から30代の女性をターゲットとしている。一方で、ANAの多頻度旅客は50代の男性。羽田さんは、今後の顧客層になり得る層への心をつかんで、ファンになってもらうことが重要、と考えている。

 今回のTHE HANEDA HOUSEは、第1ターミナルにオープン。ANAは羽田の第2ターミナルを使用し、第1は日本航空(JAL/JL、9201)グループやスカイマーク(SKY/BC)など、他社が利用している。羽田さんは「空ビルから同施設の計画を聞き、『一緒に羽田を盛り上げよう』という趣旨に賛同した。ターミナルや航空会社に関係なく、羽田を盛り上げたい」と話し、業界全体を見据えている。

 今後は都内の「おしゃれスポット」(羽田さん)のほか、空港のある・なしにかかわらず、国内の複数都市への出店を計画する。「人生は一度きりなので、夢は大きく」と笑いながら話す羽田さん。夢は始まったばかりだ。

「ANA Hangar bay Cafe by PABLO」店内に配置する機材取り下ろし部品=18年12月19日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

関連リンク
全日本空輸 [1]
ANA X [2]
羽田空港国内線ターミナル [3]
日本空港ビルデング [4]

羽田空港、滑走路に面した商業施設 「滞在型」で観光資源に [5](18年12月19日)
ANAとPABLO、格納庫イメージしたカフェ 羽田に12月オープン、マイルもたまる [6](18年11月25日)
開放感とゆったりした席で差別化 写真特集・羽田第2ターミナル サテライト [7](18年11月24日)
ANAマイレージ事業、新会社に移管 12月から [8](16年11月7日)