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大韓航空の777、主脚の車軸折損 6月、成田で重大インシデント

 国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は7月24日、成田空港で6月に発生した大韓航空(KAL/KE)の重大インシデントについて、国交省航空局(JCAB)に情報提供した。ボーイング777-300型機の右主脚後方の車軸が折損していたもので、JCABは同型機を保有する日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)に対し、点検を指示した。

大韓航空の777-300(写真は当該機と同型機)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
成田着後に右主脚損傷
JALとANAの777も点検
16年と今年4月には航空事故

成田着後に右主脚損傷

 大韓航空が6月29日に運航した、仁川発成田行きKE703便(777-300、登録番号HL7573)は、午後0時37分に成田へ到着後に地上走行中、右主脚の損傷により誘導路上に停止した。けが人はなかった。JCABは、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定し、調査を進めている。

 JTSBによると、当該機の右主脚後方の車軸が折損し、折損部の破面の一部が黒く変色していた。当該車軸は、2009年7月に右主脚を交換したときに取り付けられたという。

大韓航空の777-300当該機の右主脚損傷部(JTSBの資料から)

大韓航空の777-300当該機の右主脚損傷部(JTSBの資料から)

大韓航空の777-300当該機の右主脚損傷部(JTSBの資料から)

JALとANAの777も点検

 調査内容を受け、同型機を保有するJALとANAに対し、7月24日付で点検を指示した。JALによると、主脚は10年、もしくは1万6000サイクルごとにオーバーホールが必要で、オーバーホール時に腐食防止剤を塗布するという。今回の点検対象は、方法変更前にオーバーホールした機材となる。

 JALによると、777-200と777-200ER、777-300の3機種、計14機が対象となる。ANAによると、777-200と777-300の2機種計10機を、2カ月以内に点検するという。

16年と今年4月には航空事故

 大韓航空では、今回の成田での重大インシデントのほか、2016年と今年4月には、航空事故も発生させている。これらの航空事故について、JCABは調査を進めている。

 2016年5月27日には、羽田空港のC滑走路で離陸滑走を始めたソウル(金浦)行きKE2708便(777-300、HL7534)の左エンジン(第1エンジン)から出火した。また、今年4月9日には、済州発関西行きKE733便(737-900、HL7725)が関西空港に着陸した際、機体後部がB滑走路に接触した。

 大韓航空の金正洙(キム・ジョンス)日本地域本部長は7月25日、度重なる事故について「発生原因を分析し、再発しないようにするべき。訓練を厳しくしているが、そのレベルを超えたところで生じる」と述べ、「以降、どのように打開して、起こらないような体制を構築するのが重要だ」との認識を示した。

関連リンク
大韓航空 [1]
国土交通省 [2]
運輸安全委員会 [3]

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