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ジェイエア、伊丹でCRJ退役記念イベント 熱さ伝わるトークショーも

 日本航空(JAL/JL、9201)グループで地方路線を担うジェイエア(JAR/XM)は11月26日、2018年1月末に退役するボンバルディアCRJ200型機(1クラス50席)のイベントを、伊丹空港で開いた。

ジェイエアの伊丹空港にある格納庫でエンジンやT字翼などCRJの特徴的な機体後部を見学するイベント参加者=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
1月末で退役
機長やCA、整備士が語るCRJ愛

1月末で退役

 ジェイエアのCRJは、JALグループ初のリージョナルジェット機として、2001年就航。9機運航していたが、2016年から順次退役が進んでおり、残り3機となった。2018年1月末で全機が退役する。

 同社はCRJのほか、エンブラエル170(E170)型機(1クラス76席)とエンブラエル190(E190)型機(2クラス95席)と、3機種を路線や時間帯で使い分けている。

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回は「CRJありがとうイベント」と銘打ち、16年間を振り返る写真展や、パイロットや客室乗務員、整備士、グランドハンドリング担当者によるミニ・トークショー、機体見学会を開いた。

 イベントは午前10時から各回2時間30分ずつ、計3回開催。参加者は各回30人程度ずつ募集し、ジェイエアによると倍率は約10倍だったという。

 写真展は、ジェイエアの客室乗務員が訓練で使用する客室モックアップがある施設の1階で開催。CRJを操縦するジェイエアの酒井真比古機長が、JALから出向して4年間乗務の合間に撮り続けてきた写真を中心に展示したほか、就航当時のポスターやシートベルトなど、CRJゆかりの品々も並べられた。

 会場には、乗務前のパイロットや客室乗務員らがボランティアで参加し、来場者の質問に答えていた。2013年に入社した鈴木聡恵副操縦士は、入社当初はCRJに乗務し、最近エンブラエル機に機種移行した。

 鈴木副操縦士は、「先輩たちがCRJは操縦が難しいと言っていたのですが、私は一番最初がCRJだったので、ピンときませんでした。エンブラエルは自動化されていますね」と、多くの部分が自動になったエンブラエル機に乗務するようになって、CRJは手動で操縦する部分が多いと、改めて実感したという。

 写真展やモックアップの見学後は、ミニ・トークショーが開かれ、その後は格納庫に移動して実機(登録番号JA208J)を見学した。そして、鈴木副操縦士はイベント後、伊丹発仙台行きJL2209便、同じくイベントに参加した同僚の安倍昂洋(たかひろ)副操縦士は花巻行きJL2185便に乗務した。

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで写真展を見学する参加者=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJ就航当時のポスターの前に立つジェイエアの鈴木副操縦士(左)と安倍副操縦士=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機長やCA、整備士が語るCRJ愛

 ミニ・トークショーには、ジェイエアの運航安全企画室長を務める服部岳機長、客室乗員部ライン第1グループの相原未乃グループ長、JALエンジニアリング大阪航空機整備センターの永村直司整備士、グランドハンドリングを手掛けるJALグランドサービス大阪の山下貴之さんらが参加。会場では、ジェイエアが就航する山形空港ビルが、芋煮をふるまった。

機長やCA、整備士らがCRJを熱く語ったミニ・トークショー=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJの魅力を語るジェイエアの服部機長=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 服部機長は、1992年にJALに入社し、エアバスA300-600R型機やマクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-90型機を経て、2013年からジェイエアに出向しCRJを操縦している。CRJはドアを開けると乗降用階段になるため、服部機長は「搭乗橋(PBB)などがなくても、どこにでも飛んでいける」ことを最大のメリットに挙げた。

 一方で、「普通はインターホンで地上のスタッフとやりとりするんですが、CRJは手信号なんですよ」と服部機長は参加者に解説。「エンジンをスタートさせる時、その日の1便目は左から、2便目からは右からスタートさせるんです」と説明すると、山下さんとともに手信号を実演。「左からスタートする時はコックピットから左を指さして、右からだと右を指すだけなんですけどね」と、会場の笑いを誘っいながら、日々の運航をわかりやすく説明していた。

イベント参加者に手渡された記念品=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員の相原さんが入社した2003年は、現在の主力であるエンブラエル機が就航前で、CRJのみだった。相原さんは「ドアを客室乗務員が自分で開けるのも、開け方もビックリしました」と、入社当初は驚いたという。

 CRJは50席のため、客室乗務員は通常1人で乗務する。「荷物が入らなくて、天井が低くデメリットもありますが、一番奥の13C席のお客様までよく見えます。着陸する機体が小さいので飛行機全体が写るので、空港で記念写真を撮る方が多いですね」(相原さん)と、機体の小ささがアットホームな雰囲気を生み出している。

 一方、雷が当たるなど、思わずドキッとするような時も乗客に不安を与えないよう、驚いた表情をしないよう心掛けているという。

 整備士の永原さんは、CRJの特徴である機体後部にあるエンジンに触れた。「エンジンの取り付け部分の組み替えが大変。右と左のエンジンで整備性が異なるんですよ」(永原さん)と、ほかの機体のように翼の下にエンジンが取り付けられている機体とは違った整備上の苦労話を披露した。

 服部機長は、A300やMD-90と比べて「一番操縦が難しいです。スラスト(推力)の調整も風の変化に合わせて手動で飛びます。エンブラエル機はこうした部分が自動で、同乗した時は(CRJであればパイロットが操作するレバーが)勝手に動いてます」と違いを説明していた。

 他機種と比べ、自動化されていなかったり、機体の狭さがデメリットと言えるCRJだが、トークショーに登壇した5人からは、CRJに対する愛情が伝わってきた。服部機長は「最後まで見届けて欲しいです」とあいさつし、トークショーを終えた。

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで参加者を出迎えた大貫哲也社長と客室乗務員、パイロットら=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJ就航当時のポスター=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

初代制服(左)と現行制服を着用したジェイエアの客室乗務員=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで写真展を見学する男の子=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたCRJゆかりのもの=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたCRJゆかりのもの=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたCRJの安全のしおり=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたボンバルディア社から贈られたトロフィー=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたCRJゆかりのもの=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたCRJゆかりのもの=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで展示されたルートマップ=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ジェイエアのCRJ退役記念イベントで客室モックアップを見学する参加者=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ミニ・トークショーの会場となった会議室入口は伊丹の滑走路RWY32Lをイメージ=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ミニ・トークショーでは山形の芋煮がふるまわれた=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

服部機長らがCRJを熱く語ったミニ・トークショー=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ミニ・トークショーの会場はパイロットら社員が飾り付けた=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJのエンジンスタートの手信号を再現する服部機長=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

子供たちに塗り絵を手渡す2代目制服を着用したジェイエアの客室乗務員=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200の機内=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200の機内=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200のコックピット=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200のコックピットに座る鈴木副操縦士(左)ら=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJ実機の前でミニCRJに乗り記念撮影する男の子=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJの主翼を見学する男の子=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CRJの機首をさわる参加者=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

イベントに参加した女の子にCRJについて説明するジェイエアの大貫社長(左)=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エンジンやT字翼が特徴的なジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エンジンやT字翼が特徴的なジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

1月に全機退役するジェイエアのCRJ200=17年11月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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ジェイエア [1]

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