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国交省、JL006便トラブルを重大インシデント認定 タービンブレード損傷

 国土交通省航空局(JCAB)は9月6日、羽田空港で5日に起きた日本航空(JAL/JL、9201)の羽田発ニューヨーク行きJL006便(ボーイング777-300ER型機、登録番号JA743J)で起きたトラブルについて、航空事故につながりかねない「重大インシデント」に認定した。到着後の検査で、タービンブレードやケースに損傷などがみられたため。これに基づき、国交省の運輸安全委員会(JTSB)は、調査官3人を現地に派遣した。

JALの777-300ERのGE90-115B(資料写真)=16年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 5日のJL006便は、羽田を定刻より1分遅れの午前10時41分に112番スポットから出発。午前11時にC滑走路(RWY34R)から離陸した際、左側の第1エンジンから出火したため、午後0時9分にA滑走路(34L)へ緊急着陸した。同13分に908番スポットに到着し、乗客233人と乗員15人(パイロット3人、客室乗務員12人)にけがはなかった。

 777-300ERは、航空機用エンジンとして世界最大のGE製GE90-115Bを、左右の主翼に1基ずつ計2基搭載。JALによると、第1エンジンの低圧タービン(6段構成)のうち、5段目を構成するタービンブレード112枚、6段目110枚の計222枚を内視鏡で調べたところ、大半のブレードが折れたり曲がったりといった損傷がみられたという。また、タービンギアフレームの下部に4センチ×0.5センチ大の穴が確認された。

羽田のC滑走路を離陸する機材変更後のJALニューヨーク行きJL006便=17年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 これらの調査結果を受け、JCABは「発動機の破損に準じる事態」と判断。重大インシデントに認定した。

 JALの機材でGE90-115Bを採用しているのは、長距離国際線に投入している777-300ERのみ。JALは当該機を含めて13機の777-300ERを保有しており、GE90-115Bの点検を進めている。当該エンジンについても、分解検査などを実施していく。

 直近でJALが認定を受けた重大インシデントは、2015年10月10日に鹿児島空港付近の上空で起きた、着陸進入中の羽田発JL651便(ボーイング767-300型機、登録番号JA8364)の前に、新日本航空(鹿児島県霧島市)の小型双発プロペラ機ブリテン・ノーマンBN-2B-20アイランダー(登録番号JA80CT)が異常接近(ニアミス)した事例。2017年度は、今回のJL006便のエンジントラブルまで、重大インシデント認定はなかった。

関連リンク
国土交通省 [1]
運輸安全委員会 [2]
日本航空 [3]

国交省「バードストライクではない」NY行きJL006便エンジントラブル [4](017年9月6日)
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