- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ドコモ、地対空方式の機内Wi-Fi実証実験 ANAやパナソニックなどと

 NTTドコモ(9437)は8月8日、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所の電子航法研究所(ENRI)と全日本空輸(ANA/NH)、パナソニック(6752)、ジャムコ(7408)と共同で、LTE方式の通信技術を活用した地対空通信方式による機内インターネット接続サービスの実証実験に成功したと発表した。

ドコモの地対空通信による機内インターネット接続サービスの実証実験に使われた電子航法研究所の実験機「よつば号」(ドコモの資料から)

 ドコモによると、航空機が地上の設備と通信する地対空方式は、機内インターネット接続サービスで現在主流の衛星通信方式と比べ、アンテナなど航空機側の機器を小型化できるメリットがあるという。米国の国内線など陸地続きの路線で採用されているが、国内ではまだない。

 プロジェクトは、2014年春に水面下でスタート。実験は7月13日から8月1日まで、岩手県と宮城県、福島県の上空で行った。ドコモは、VHF帯TD-LTEによる地対空方式の無線通信システムを宮城県に構築し、岩手県、宮城県、福島県の上空エリアで実験局免許を取得した。

 ENRIが所有する実験用の双発ターボプロップ(プロペラ)機「よつば号」(ビーチクラフト社キングエア350、登録番号JA35EN)に、パナソニックが開発した航空機用端末装置を搭載し、ANAが検証飛行ルートについて助言して、ジャムコがよつば号を運航した。

 実験では、実験基地局から高度最大2万8500フィート(8700メートル)、半径最大93キロの上空エリアカバーを確認。また、航空機の巡航速度が230ノット(時速430キロ)で、受信時最大27Mbpsの通信速度で地上との通信に成功した。

 また、ウェブサイトの閲覧、メールやメッセージの送受信、ライブ映像の視聴、電子雑誌の閲覧など、地上と同様に機内でも利用できることを確認した。

 ANAによると、今後の実験計画は未定だが、地対空方式の有効性が確認された際には活用を検討していきたいという。

ドコモの地対空通信による機内インターネット接続サービスの実証実験イメージ(ドコモの資料から)

よつば号(左)と地上の実験アンテナ(ドコモの資料から)

よつば号の機内に置かれた実験装置(ドコモの資料から)

ドコモの地対空通信による機内インターネット接続サービスの実証実験を実施するよつば号の機内(ドコモの資料から)

関連リンク
NTTドコモ [1]
電子航法研究所 [2]
パナソニック [3]
ANA [4]
ジャムコ [5]

各社で導入が進む機内インターネット接続サービス
ANA
ANA国内線Wi-Fiサービス、一足先に使ってみた [6](16年1月25日)
スポーツ生中継に3D航路図 特集・エンタメ充実のANA国際線787-9に乗ってみた [7](15年5月24日)
ANAも国際線で無線LANサービス 3月開始 [8](14年2月26日)

JALグループ
JAL、純利益32.9%増 無料Wi-Fi「増収に寄与」、17年4-6月期 [9](17年7月31日)
JALグループ、無料で国内線ネット接続 9月以降も [10](17年6月20日)
JTA、737-800で機内Wi-Fi 15日から、8月まで無料提供 [11](17年6月12日)
「我々には後がない」 JALが背水の陣で挑む国際線機内ネット接続「JAL SKY WiFi」 [12](12年7月14日)

ハネウェルのデモ機飛来
高速ネット接続、運航・整備にも活用 写真特集・ハネウェル757試験機 [13](17年7月20日)
ハネウェル、3万フィート上空で高速ネット接続デモ 成田に757試験機飛来 [14](17年7月19日)