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羽田発着枠、地方路線で評価 日航は再検討へ

 国土交通省は11月19日、2013年3月から増枠する羽田空港の国内線発着枠(スロット)1日25枠(年間2万回、1日25便分)の配分基準を議論する5回目の有識者会議「羽田発着枠配分基準検討小委員会」を開いた。日本航空(JAL、9201)への配分などを最終調整し、年内にも配分される見通し。スカイマーク(SKY、9204)など新規航空会社4社への優先配分は原則廃止となる。

羽田発着枠配分基準検討小委員会に出席する航空各社の担当者(正面)=11月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 航空局(JCAB)の提示案では、過去5年間の地方路線の運航実績や安全性など11項目で評価。JALは破綻事業者として、公的支援を受けた期間は評価対象から除外し、減点するとしていたが、委員からは「破綻期間をまったく評価しないのは適正ではないのではないか」など異論が続出した。

 提示案では、07年4月1日から12年3月31日までの5年間を対象に、羽田路線以外の地方と地方を結ぶ路線や離島路線の運航実績や安全性を点数化して、航空会社6社を相対評価する。評価項目は、運賃が過去5年間の各社平均を下回っているかや、機材が原因で起きた欠航や遅延の発生率、低需要路線の数、営業コストが各社平均を下回っているかなど11項目。従来は地方路線を拡大する方向で評価が行われたが、05年度を境に国内線需要が減少局面に入ったため、現在の路線ネットワークを維持する方向に評価項目を見直した。

 公的支援を受けたJALに対しては、「企業再生期間は本来運航が行えなかった期間」として、5年間1826日の評価期間のうち、支援を受けていた10年1月19日から12年3月31日までの802日間は評価対象から除外し、点数から期間相当分となる44%を減点するとした。

 この提示案に対して、各委員から異論が続出。今後破綻事業者が出た場合「航空会社がスロットがもらえなくなると考え、公的支援を使わなくなってしまう」など、企業再生の観点からJCABに対して再考が促された。

 今回の増枠では、新規航空会社4社も優先配分はなくなり、JALや全日本空輸(ANA、9202)と同様の項目で評価される。新規のうちスターフライヤー(SFJ、9206)は最後発で保有機材が12機に満たないことから、一定の配慮が必要となった。

 JCABでは各委員と詳細を調整し、最終案は竹内健蔵委員長(東京女子大学教授)に一任され、年内にも配分が決定する。

 委員からは航空会社に発言も求められた。各社の主な発言内容は下記の通り(発言順)。

SFJ(スターフライヤー)
・先行する各社との格差解消のため、最大限の枠をいただきたい。

JAL(日本航空)
・破綻について議論いただきありがたい。

SNJ(スカイネットアジア航空)
・非幹線だけで路線維持をやってきたので、暖かい視線で見ていただきたい。

ANA(全日空)
・多様なネットワーク、特に3便以下の便について評価いただき感謝申し上げたい。

ADO(エア・ドゥ)
・コードシェア比率規制について見直しを図るとあり、ありがたい。

SKY(スカイマーク)
・議論と出てきた数字(枠数)にかい離があるのではなく、公平な結論を出していただけるとありがたい。

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国土交通省 [1]

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