- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ANA、バリアフリー化で国交大臣表彰 Q400屋根付きハシゴ評価

 国土交通省は1月13日、バリアフリー化の推進に貢献した団体を表彰する大臣表彰式を開催し、4事例を表彰した。航空業界では全日本空輸(ANA/NH)とANAウイングス(AKX/EH)を表彰し、これまでプロペラ機では利用できなかったボーディングブリッジ(搭乗橋、PBB)を使えるようにする取り組みを評価した。

表彰式で大野政務官(前列左から2人目)と談笑するANAの篠辺社長(前列左)。前列右はANAウイングスの泉社長=17年1月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 省内で開かれた表彰式には、ANAの篠辺修社長とANAウイングスの泉弘毅社長らが出席。大野泰正・国交政務官(参院・岐阜、自民)から表彰状を受け取った。石井啓一国交相(衆院・北関東、公明)はインフルエンザにかかったため、欠席した。

 このほか、津波避難タワーをバリアフリー化した仙台市や、地下鉄車両と駅舎をバリアフリー化した仙台市交通局、駅と周辺施設をバリアフリー化した西日本旅客鉄道(JR西日本、9021)と大阪・高槻市を表彰した。

 国交省は2006年12月に施行の「バリアフリー新法」(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)を踏まえ、2007年度からバリアフリー化推進功労者大臣表彰制度を創設。国土交通分野でのバリアフリー化の推進に貢献した個人や団体を表彰している。

 航空業界では2010年度に、羽田空港の国際線ターミナルを運営する東京国際空港ターミナル(TIAT)、京浜急行電鉄(京急、9006)、東京モノレールの3社と、新千歳空港のターミナルビルを運営する北海道空港会社を表彰した。

Q400搭乗時はアダプター使用

ANAがナカオと共同開発した機体と搭乗橋の間に設置するアダプター(ANAのウェブサイトから)

 ANAウイングスは、ボンバルディアDHC-8-Q400型機への搭乗時に、PBBを利用できるようにする「アダプター」と呼ぶ屋根付きハシゴを導入。エレベーター機能を設置することで、足の不自由な利用者も車いすのまま搭乗できるようにした。

 Q400は地方路線に投入しているターボプロップ(プロペラ)機で、他機種と比べてドアの位置が低く、PBBをドアに装着できない。このため、乗客は飛行機とターミナルビル間をバスか徒歩で移動する必要があり、雨の日に濡れずに乗り降りしたいという要望が乗客から寄せられていたという。

 ANAは、ハシゴなどを手掛けるナカオ(山口・下関市)と共同で、機体とPBBを接続する「アダプター」と呼ぶ屋根付きハシゴを開発。2016年度は松山と新千歳、青森の3空港で導入した。2017年度は伊丹や中部(セントレア)、仙台など16空港で導入を予定している。

 また、ANAは2016年4月から樹脂製車いす「morph(モルフ)」を導入。金属を使用していないため、空港到着時から機内まで使用でき、保安検査をそのまま通過できる。羽田空港国内線第2ターミナルでは、タブレット端末を使用した手話通訳サービスを導入している。客室乗務員や地上旅客係員は、訪日客や耳の不自由な利用客などとのコミュニケーションツールをデジタル化し、ユニバーサル化やバリアフリー化を図っている。

国交省のバリアフリー化推進功労者大臣表彰の記念講演会場で流れたPBBアダプターを紹介するANAの動画=17年1月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国交省のバリアフリー化推進功労者大臣表彰の記念講演会場で流れたPBBアダプターを紹介するANAの動画=17年1月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国交省のバリアフリー化推進功労者大臣表彰の記念講演会場で流れたPBBアダプターを紹介するANAの動画=17年1月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰 [1]
全日本空輸 [2]
ANAウイングス [3]

ANA、プロペラ機Q400も搭乗橋使用 新千歳・松山に屋根付きハシゴ [4](16年8月2日)
ANA、iPadで訪日客と“会話” タップしてやり取り [5](16年5月25日)
ANA、タブレット端末で手話同時通訳 羽田カウンターで [6](16年4月21日)
ANA、樹脂製車いす羽田に導入 保安検査そのまま通過 [7](16年4月21日)