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MRJ、米リース会社から20機受注で基本合意 18年納入

 三菱航空機は現地時間2月16日、米国の航空機リース会社エアロリースと、国産初のジェット旅客機「MRJ」のうち、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」20機(確定受注10機、オプション10機)の発注について基本合意(LoI)した。同日から開催中のシンガポール航空ショーで発表した。航空機リース会社との基本合意は初めて。

MRJ導入で基本合意する(左から)三菱航空機の森本社長、エアロリースのソーントン代表、三菱航空機の福原裕悟営業部長=16年2月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

エアロリース仕様のMRJの飛行機模型=16年2月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 確定発注の契約締結は3月を目指し、2018年に引き渡しを開始する見込み。確定発注となれば、日本航空(JAL/JL、9201)から32機を受注した2015年1月以来の受注獲得となる。

 今回の発注が確定すると、これまでに全日本空輸(ANA/NH)など計7社から427機(確定受注233機、オプション170機、購入権24機)を受注したことになる。

 三菱航空機の森本浩通社長は、「航空機リース会社との合意は、MRJにとって大きな意味を持つ。MRJの資産価値が市場で認められた」と語った。

 エアロリースのジェップ・ソーントン代表は、「三菱の航空機製造経験と強固な財務基盤を高く評価した。MRJは最先端の空力設計とプラット&ホイットニー製のGTFエンジン、ロックウェルコリンズのアビオニクスを組み合わせた優位性のある機体だ」とMRJを評価した。

エアロリース仕様のMRJ(三菱航空機提供)

 MRJは、主に地方路線で運航するリージョナルジェット機。同クラスのライバル機と比べて広く快適性を追求した客室や、機内持ち込み可能な最大サイズのキャリーバッグが入る大型の手荷物収納棚、新型エンジンや細い胴体による空力特性で実現した低燃費などが特徴となっている。

 2008年3月27日、ANAがローンチカスタマーとして25機(確定15機、オプション10機)を三菱重工に発注し、事業化が決定。同年4月1日には設計や型式証明の取得、販売などを手がける三菱航空機が営業を開始し、三菱重工は製造を担う。

 国内ではANAのほか、JALも確定発注。ANAでは地方路線を担うANAホールディングス(9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)が、JALではグループのジェイエア(JAR/XM)がそれぞれ運航する。

 エアロリースは1986年、米フロリダで設立。貨物機や旅客機のリースを手がけている。これまでDC-8F貨物機やエアバスA300F貨物機、ボーイング757型機を導入し、現在は757を40機以上保有している。

 競合のエンブラエルが開発を進める「E2」シリーズのうち、1クラス106席、2クラス97席を設定する「E190-E2」のロールアウトが2月25日に迫っている。

エアロリース仕様のMRJ(三菱航空機提供)

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MRJ [1]
三菱航空機 [2]
Aerolease Aviation [3]
Singapore Airshow [4]

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