エアバス, 企業, 機体 — 2015年6月7日 08:40 JST

川崎重工、A320neo量産初号機用エンジン部品完納

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 川崎重工業(7012)は、エアバスA320neo用エンジン、米プラット&ホイットニー製PW1100G-JMの量産初号機向け部品の出荷を、このほどすべて完了した。

中央のFESAなど量産初号機用部品を完納した川崎重工(同社資料から)

 PM1100G-JMは、ファンに最先端のギアシステムを採用。同ギアシステムによりファンが低圧コンプレッサーとタービンとは異なるスピードで駆動する。最新のコア部分を組み合わせることで、高い燃費効率と環境性能を実現した。

 開発はP&Wと日本航空機エンジン協会(JAEC)、独MTUアエロエンジンズが設立した合弁会社IAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)が主体となり、2011年に開始。JAECが全体の23%を担当し、IHI(7013)と川崎重工、三菱重工航空エンジン(MHIAEL)が参画している。

 川崎重工では、低圧圧縮機部の主要部品12点を担当。ブレードとディスクを一体成型した低圧圧縮機回転部品「IBR(インテグレーテッド・ブレーデッド・ローター)」などを手掛けている。

川崎重工が手掛けるPW1100G-JM向けIBR(同社資料から(同社資料から)

 量産初号機用の部品は、今年3月に出荷を開始。低圧圧縮機前部に搭載される静翼部品「Fan Exit Stator Assy(ファン・イグジット・ステイター・アッシー)」を明石工場からこのほど出荷し、量産初号機用部品をすべて出荷完了した。

 A320neoは、A320の派生型で新型エンジンを搭載。エンジンはPW1100G-JMとCFMインターナショナル製LEAP-1Aの2種類から選択できる。2014年9月25日にPW1100G-JMを搭載した機体が初飛行に成功し、LEAP-1A搭載機も5月19日に初飛行した。

 A320neoファミリーは、A319neo(1クラス160席)とA320neo(同189席)、A321neo(同240席)の3機種で構成。新型エンジンのほか、翼端に大型ウイングチップ「シャークレット」を取り付け、客室も改良。2020年までにA320従来型(A320ceo)と比較して、1座席あたり燃費を20%向上させる。

 同ファミリーの中では、PW1100G-JMを搭載したA320neoが最初に型式証明を取得し、2015年10月-12月(第4四半期)に量産初号機がカタール航空(QTR/QR)へ引き渡される予定。

関連リンク
川崎重工業
Pratt & Whitney
日本航空機エンジン協会
IHI
IHIエアロスペース
三菱重工業
Airbus
エアバス・ジャパン

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